対中包囲網と大企業の大儲けを保障するアベノミクスも極まったと思います。それは非核三原則を国是とする日本、しかも、フクシマの被害は、進行中です。そればかりか、原子力の安全管理の杜撰さも明らかになったばかり、汚染水問題も解決しておらず、活断層の上にある原発を廃炉にしろという国民の要求を無視して再稼動させようとしているのです。さらに問題なのは、巨大地震の到来が予想されているにもかかわらず、です。
東日本大震災の被災者の声、生活実態は、為政者には、また経済界には見えないようです。これぞ、日本の不道徳の象徴と言えます。こうした安倍自公政権や財界に対して、被害の補償を求めると同時に、居住の自由、勤労の権利を奪われた被災地の人々に対して、憲法の生存の自由、幸福追求権の具体化、恐怖からの自由を明記した憲法の完全実施を求めていくことです。
以上のような点を確認したうえで、インドとの交渉の問題点について、以下の記事を読み、記事を書くことにしました。原爆投下・原発輸出・アベノミクス・慰安婦・戦争責任の曖昧化・日米同盟・憲法・非核三原則も、皆同じ根っこから来ていることが判ります。
水や空 大利を損なうインドへの原発輸出 長崎新聞(2013年6月2日更新)
http://www.nagasaki-np.co.jp/news/mizusora/2013/06/02111510010540.shtml
古代中国の思想書「韓非子」に、王が目先の利益に惑わされて国を滅ぼしてしまった話がある。小利に目がくらんで、国の存続という大利を損なったのだから、これほどの愚行はない。「小利は大利の残(そこな)い」。為政者に求められるのは、小利と大利の違いを見極める力だ▲まさに今、安倍晋三首相に求められているのが、その力だろう。首相を惑わしているのが、インドの原発市場だ。日本からの原発輸出が可能になれば、経済成長に弾みがつく。その利益以外のことは、首相の眼中にないらしい。だから、日印原子力協定締結を急いでいる▲だが、インドは核拡散防止条約(NPT)未加盟国だ。NPTは未加盟国への原子力技術供与を禁じている。既に米、露、仏などが禁を犯してインド市場に進出しているが、被爆国日本までが、なりふりかまわず利に走れば、NPTは崩壊する▲核拡散の歯止めを失えば、人類滅亡に道が開かれる。原発ビジネスという小利に目がくらんで、人類存続という大利を損なうほどの愚行はない▲安倍首相が、来日したインドのシン首相と原子力協定締結交渉再開で合意した。被爆地から批判の声が上がり、田上富久長崎市長も「日本がNPT空洞化に手を貸してはならない」と政府に交渉中止を求める方針だ▲「小利を捨てて大利に付くべし」。安倍首相は目覚めよ。大利のために貢献することが被爆国日本の使命だ。(信)(引用ここまで)
安倍首相が目覚めることはあり得ません。それは大東亜共栄圏正当化と戦争責任回避という思想に懲り固まっているからです。このことは、この間の発言で明らかです。安部首相を諦めさせるのためには、国民の力以外にありません。いっさいの期待は持つべきではありません。テレビに映る安倍氏の有頂天ぶりには辟易します。しかも安倍氏の発する薄っぺらな日本語は、実態のないものです。
きょうのコラム「時鐘」北国新聞 2013年6月2日
http://www.hokkoku.co.jp/jisyoh/hjisyoh.htm
松井秀喜さんの米国での引退記念式が決まった。ゴジラ以上の成績を残しても、晴れがましい花道とは無縁の選手がいくらもいる。ファンの大きな後押しがあって初めて実現する式典だという「松井人気」の理由を、小紙の元番記者にあらためて尋ねた。多くの劇的なアーチより、一つの不名誉なプレーが大きいという。レフト前の打球を取り損ね、手首を骨折した。翌日の手術後、「チームとファンに迷惑を掛けた」と謝罪して多くの人を驚かせ、賛辞を集めた契約や訴訟があふれる米国では、非を認めて謝罪するのはご法度だという。松井さんはそのタブーを破って、日本人の謙虚さを米国の人々に教えた。謝罪には償いが伴う。その後の大活躍で、それも立派に果たした謙虚な日本人も、最近は怪しい。心のこもらぬ「心からのおわび」が頻繁に報じられる。東洋の美徳を誇る近所の国々も同様か。領土や慰安婦問題、果ては原爆投下を巡って、謝罪や謙虚を忘れた人が増殖している海をまたいで日本人の心意気を発揮した人が、また輝く。大リーグ版「栄誉賞」との2冠王である。(引用ここまで)
安倍氏の橋下氏の思想の問題点について、上記の二つのコラムは的を突いています。しかも面白いことには中国の思想書を持ち出していること、国民栄誉賞を事例に出していることに、最大の皮肉というか、特徴があります。背中で誠意を示すという日本人の美徳が、為政者によって踏みにじられているという事実も見えてきます。その最大の反面教師が、橋下氏や石原氏であり、そのオトモダチである安倍氏であることは、日本国民とアメリカ国民、そして国際社会が見通しているのです。しかし、安倍氏はノーテンキにも、アベノミクスを標榜しながら、政権の長期化を企んでいるのです。
その安倍氏の企みの奥に何があるか。それは当面はアメリカのお先棒を担ぎながら、東條とともに満州国の経営に力を入れた祖父の野望であった中国大陸の「制覇」、八紘一宇思想を受け継ぐことです。安倍首相の得意気な顔つきと言葉のハシハシに、祖父岸信介が抱いた野望が透けて見えてきます。安倍氏が靖国に参拝するのは、岸を使った東條が合祀されているからです。
しかし、それは大東亜共栄圏づくりに参加した人々の良心を踏みにじる思想でもあります。だから早晩化けの皮が剥がれることでしょう。橋下氏に対しても、以下のコラムは大変興味深いものです。慰安婦への冒涜ばかりか、皇軍兵士に対しても、同様の冒涜思想を示しています。
大観小観 伊勢新聞 2013年6月2日(日)
http://www.isenp.co.jp/taikan/taikans.htm
▼大阪市議会の問責決議案を〝捨て身〟の駆け引きで乗り切ったと思ったら、国連の拷問禁止委員会から日本政府が、一連の慰安婦発言の「法的な責任を認め、関係者を処罰する」よう勧告を受けた
▼先の外国特派員協会では「慰安婦制度は他国の軍もやっていた」「日本が国家の意思として女性を強制連行した証拠はない」などの立場を維持したが、日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長の逆風は続く
▼「夜の雷雨砲車に光りては消える」―県立津中の国語教師もした戦争俳句の第一人者長谷川素逝の句。中国戦線を駆け巡り、その「高揚する気持ちを表現せずにいられぬ衝動」の百十四句を句集『砲車』として出版したが、病気帰国後は自然に心境を託す作品に転じ、死の直前国立三重療養所で編んだ『定本素逝句集』には『砲車』からは三句しか採用しなかった
▼『砲車』を離さず中国を転戦した吉岡久雄さんは、そのことが不思議だったが、のち久居の津陸軍病院で素逝の指導を受け、盗作を戒める素逝の友人への手紙で得心する。「私たちは、戦争という罪悪に加担して来ました。これも他人が築いてきた宝物を、手段を選ばずに横取りしようとする醜い心の表われではないでしょうか。(中略)心から恥ずかしく思っています」
▼先代の本紙社長小林正雄は県出身兵士らの戦記を連載したが、取材で人づてに訪ねても決して口を開こうとしなかった人も少なくなかった
▼「銃弾が飛び交う中」で戦った「猛者集団」の心境は、経験のない橋下市長の歯切れのいい分析ほど「精神的に高ぶっている」ばかりではない。(引用ここまで)
つづく