今のところ、加齢による影響っていうと目が気になるわけですが(楽譜見るとき)、最終的にいつまでピアノ弾けるか(あるいは聞いて楽しむほうも)といったらさらに重要なのは耳です。
←目も耳もだいじにして長く楽しみたいです
目が悪くなったら眼鏡、耳が悪くなったら補聴器といっても、たぶん補聴器って主に会話が維持できるように工夫されたものだと思うし(当然それが大事)、ピアノの音をそのまんま楽しむのにそんなに都合のいいもんじゃないよね。それはもう、生の耳が良いまま維持できるのが一番です。
耳の衰えがどんなスピードで来るかというのは人による違いが大きいけど、その違いはいったいどんなところから来るのか…ということを知りたくて
「驚異の小器官 耳の科学」(杉浦彩子、ブルーバックス)
を読みました。これ、耳の進化の話とか読み物としてもおもしろかったんだけど(*)、それはともかく、「ピアノを長く楽しむ」に関係あるとこだけピックアップ。
難聴の中で、うるさい音を聞きすぎた、という「騒音性難聴」というのがあるでしょ。でもそれは工場とかほんとにうるさいところに仕事でいなきゃいけないような人にだけ関連するように思っていたけれど…
この本を読んでびっくりしたのは、「明らかな騒音性難聴でなくても、加齢性難聴とは広義の騒音性難聴かもしれないという説」です。騒音のほとんどない場所に住むマバーン族(アフリカ)には加齢性難聴がほとんどないとか、イースター島の住民の調査で、チリ本土に3年以上住んだ人とそうでない人を比較すると、本土に住んでた人は聴力が弱いとか(o_o) いやもう、そういうことを考えると、毎日地下鉄で通勤とかどうなんだろうねぇ。あれ、意識に上ってないだけで現実問題ずいぶんうるさいでしょ。
もっとはっきりしていることといえば、ハードロック、ヘビーメタルあたりのミュージシャンの聴力が平均より低下しているという報告は数多くあるそうです。90dbとか、スピーカーの近くでは120dbとかいくこともあるからぜんぜん不思議ではない話で、もちろん元々の体質によって影響は違うんだけど、長時間聞くとよくない影響があるでしょう。幸い、クラシックのコンサートでそんなのはないんで観客のほうは関係ないけど、実は奏者自身には問題で、フレンチホルン奏者の1~2割に騒音性難聴があったとかいうのでそんなに他人事ではない。
いずれにせよ、どのくらい以上でどのくらいの影響があるかはわからないんだけど、無駄にうるさい音を聞くのは避けたほうがよいらしいですよ。長い目でみると。幸い、私はうるさい系のコンサートはあんまり好きじゃないので、96猫とまらしぃで各1回行ったのみ、あとは避けていますが、お好きな方はどうぞお気をつけください。スピーカーのそばによらないだけでも多少よいかと思います。
あと、地味な話ですが、全身の健康状態が悪化すれば当然、耳の老化が早まりますので、たとえば動脈硬化とかね、それは避けたほうがよい(当たり前)。そのほか、タバコ、高血圧、高脂血症、糖尿病、葉酸欠乏、ストレスなども加齢性難聴の危険因子だって。ふつうやな(^^;; だいたい想像でわかりますね。想像の及ばなかった内容といえばメラニンです。メラニンは内耳に対して保護的に働くので、白人より黒人のほうが騒音性難聴も加齢性難聴もなりにくい。遺伝はどうしようもないけど規則正しい生活と、日光の刺激を受けるということでメラトニンの分泌がうまくゆき、メラニンもうまいこと働くでしょうって話です。まぁそりゃ規則正しい生活とかいいでしょう、いいでしょうけどわかっちゃいるけど…
あと、耳の聞こえが悪くなるほかに耳鳴りで悩まされるというのもよくある話で、これもこれで非常に解決しづらい…すぐぴたりと止めることは非常に難しい。
難聴のある人と耳鳴りのある人というのは似通っている(重なっている人も多い)のだけれど、違う部分もあり、加齢に伴い難聴は増えていくんだけれども耳鳴りは頭打ちになる。どうも80代を過ぎると聴覚野の抑制がとれても、活性化のほうの力が弱いので耳鳴りもしない?? 難聴のある人と耳鳴りのある人でどう条件が違うか徹底調査してみたところ、なんと「脳梗塞がある人は耳鳴りがしないことが多い」…それってぜんぜんうれしくないですけど。要するに聴覚に関係ある部分が梗塞でダメになっていたら耳鳴りがしないわけね。
それでこの著者(医者)は患者さんに「耳鳴りを感じる力も残っているんだから、耳鳴りに慣れていく力も残っていると思いますよ」と励ましているそうだが(^^;; 耳鳴りというのは治るというより「気にならない境地に達する」のが解決の道らしいが、つまりは消そうと思うほどとらわれていく…哲学か禅か…
順調に気にならなくしていく方策としては、音を流すのがよいそうで、つまり耳鳴りと本物の音を混ぜてずっと聞いておく。難聴の人なら補聴器をつける、そしてテレビやラジオを流しておく。耳鳴りを打ち消すほどのボリュームではなく、両方聞こえるくらいの音量がいいんだって。覚えておこう。
(*) 哺乳類の内耳では3つの小さな骨が音を伝える役割をしているけれど、このうち2つの骨はもともと(原始両生類、原始爬虫類)上あごと下あごをつなぐ骨だったもの。その分、哺乳類はあごが大きく開かなくて獲物を丸のみできなくなったけど、耳の聞こえがよくなった。
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耳の衰えがどんなスピードで来るかというのは人による違いが大きいけど、その違いはいったいどんなところから来るのか…ということを知りたくて
「驚異の小器官 耳の科学」(杉浦彩子、ブルーバックス)
を読みました。これ、耳の進化の話とか読み物としてもおもしろかったんだけど(*)、それはともかく、「ピアノを長く楽しむ」に関係あるとこだけピックアップ。
難聴の中で、うるさい音を聞きすぎた、という「騒音性難聴」というのがあるでしょ。でもそれは工場とかほんとにうるさいところに仕事でいなきゃいけないような人にだけ関連するように思っていたけれど…
この本を読んでびっくりしたのは、「明らかな騒音性難聴でなくても、加齢性難聴とは広義の騒音性難聴かもしれないという説」です。騒音のほとんどない場所に住むマバーン族(アフリカ)には加齢性難聴がほとんどないとか、イースター島の住民の調査で、チリ本土に3年以上住んだ人とそうでない人を比較すると、本土に住んでた人は聴力が弱いとか(o_o) いやもう、そういうことを考えると、毎日地下鉄で通勤とかどうなんだろうねぇ。あれ、意識に上ってないだけで現実問題ずいぶんうるさいでしょ。
もっとはっきりしていることといえば、ハードロック、ヘビーメタルあたりのミュージシャンの聴力が平均より低下しているという報告は数多くあるそうです。90dbとか、スピーカーの近くでは120dbとかいくこともあるからぜんぜん不思議ではない話で、もちろん元々の体質によって影響は違うんだけど、長時間聞くとよくない影響があるでしょう。幸い、クラシックのコンサートでそんなのはないんで観客のほうは関係ないけど、実は奏者自身には問題で、フレンチホルン奏者の1~2割に騒音性難聴があったとかいうのでそんなに他人事ではない。
いずれにせよ、どのくらい以上でどのくらいの影響があるかはわからないんだけど、無駄にうるさい音を聞くのは避けたほうがよいらしいですよ。長い目でみると。幸い、私はうるさい系のコンサートはあんまり好きじゃないので、96猫とまらしぃで各1回行ったのみ、あとは避けていますが、お好きな方はどうぞお気をつけください。スピーカーのそばによらないだけでも多少よいかと思います。
あと、地味な話ですが、全身の健康状態が悪化すれば当然、耳の老化が早まりますので、たとえば動脈硬化とかね、それは避けたほうがよい(当たり前)。そのほか、タバコ、高血圧、高脂血症、糖尿病、葉酸欠乏、ストレスなども加齢性難聴の危険因子だって。ふつうやな(^^;; だいたい想像でわかりますね。想像の及ばなかった内容といえばメラニンです。メラニンは内耳に対して保護的に働くので、白人より黒人のほうが騒音性難聴も加齢性難聴もなりにくい。遺伝はどうしようもないけど規則正しい生活と、日光の刺激を受けるということでメラトニンの分泌がうまくゆき、メラニンもうまいこと働くでしょうって話です。まぁそりゃ規則正しい生活とかいいでしょう、いいでしょうけどわかっちゃいるけど…
あと、耳の聞こえが悪くなるほかに耳鳴りで悩まされるというのもよくある話で、これもこれで非常に解決しづらい…すぐぴたりと止めることは非常に難しい。
難聴のある人と耳鳴りのある人というのは似通っている(重なっている人も多い)のだけれど、違う部分もあり、加齢に伴い難聴は増えていくんだけれども耳鳴りは頭打ちになる。どうも80代を過ぎると聴覚野の抑制がとれても、活性化のほうの力が弱いので耳鳴りもしない?? 難聴のある人と耳鳴りのある人でどう条件が違うか徹底調査してみたところ、なんと「脳梗塞がある人は耳鳴りがしないことが多い」…それってぜんぜんうれしくないですけど。要するに聴覚に関係ある部分が梗塞でダメになっていたら耳鳴りがしないわけね。
それでこの著者(医者)は患者さんに「耳鳴りを感じる力も残っているんだから、耳鳴りに慣れていく力も残っていると思いますよ」と励ましているそうだが(^^;; 耳鳴りというのは治るというより「気にならない境地に達する」のが解決の道らしいが、つまりは消そうと思うほどとらわれていく…哲学か禅か…
順調に気にならなくしていく方策としては、音を流すのがよいそうで、つまり耳鳴りと本物の音を混ぜてずっと聞いておく。難聴の人なら補聴器をつける、そしてテレビやラジオを流しておく。耳鳴りを打ち消すほどのボリュームではなく、両方聞こえるくらいの音量がいいんだって。覚えておこう。
(*) 哺乳類の内耳では3つの小さな骨が音を伝える役割をしているけれど、このうち2つの骨はもともと(原始両生類、原始爬虫類)上あごと下あごをつなぐ骨だったもの。その分、哺乳類はあごが大きく開かなくて獲物を丸のみできなくなったけど、耳の聞こえがよくなった。
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