アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

西洋音楽史(15) バッハ演奏の変遷から見る音楽史

2021年07月25日 | ピアノ
「題名のない音楽会」で「箏にうってつけなクラシックの音楽会」というのを見ていたのですが(かてぃんが出てたので♪)

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「Ryu(竜)for Koto」という曲が「藤倉大さんに頼んで琴のために作曲してもらった」とか言ってたのを聞いて娘が
「頼んだ? 今、生きてる人が書いてもクラシックなの?? クラシックって何??」

…えーと、なんだろ…


と、いうことで(?)、西洋音楽史最終回は「バッハ演奏の変遷から見る音楽史」でした。

そもそも、18世紀までの西洋音楽ではだいたい同時代の音楽のみが消費されていたところ、過去に作曲された音楽を、楽譜を通じて読み取って演奏して、作品として受容する習慣ができたのは、18世紀後半以降…

つまり「古典」の音楽を演奏する、聞くということですね。18世紀後半、19世紀でいう「古典」は、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンであって、まぁ今一般に「クラシック」というよりもっと狭く「古典派」。それ以降の作品は、もちろんショパンもリストも、同時代の人にも楽しまれつつ、楽譜を残す・流通させる(出版)ことによって、(残るものは)未来まで残る、と。

しかしそれ以前の、バロック以前の楽曲(バッハ含む)となると、いったん忘れ去られていたわけです。完全に忘れ去られていたわけではなくて、一部の楽曲は一部の音楽家に意識されていたみたいだけど、ともかくそんなに有名じゃなかった。

そこへ、メンデルスゾーンがプロデュースした「マタイ受難曲」蘇演が成功したりしてバッハが大復活するのですが…

メンデルスゾーンは、その時代に合うようにいろいろ工夫していたのですね。バッハがどうやっていたかを復刻しようとしたわけではなくて、メンデルスゾーンの時代の人が演奏し、聞いてしっくりくるように、テンポ変化や音量変化を書き込み、楽器もそのとき使われていたものに差し替え…そうした変更についてバッハさんが墓の中でどう思っていたかはわかりませんが、まぁうまくいって(聴衆に受け入れられて)よかったんじゃないかな…

メンデルスゾーンの「改変」は、昨日書いたような、スカルラッティのロンゴ版とかと同様ですね。バッハやスカルラッティの楽譜に何も書いてないからといって、別に平板に弾くことを想定されているわけではなくて、ただそこまで詳しく記入する習慣がなかったから(同時代同士、書かなくてもわかったのだろう)なので、メンデルスゾーンさんなり、ロンゴさんなり、音楽に詳しい人が演奏者の便宜のため予め、どう演奏すると「いい感じ」になるかを補足してくれているわけです。

その「いい感じ」は、バッハの時代ではなくて19世紀の感覚でのものなので、それを称して「ロマン主義的バッハ演奏」。

それの批判から生まれたのが今度は新即物主義。原典資料に基づく楽譜を忠実に演奏しようという…そうはいっても、何も書いてない楽譜を「音符のとおり」弾くというのは、それはそれでバッハの聞いてたものと違うと思うが…極端な例でいうと、バッハが無伴奏バイオリン曲で三重音、四重音を書いているので、それがそのまま(同時に)弾けるようにわざわざ緩めた弓を作って弾いたりしたとか。なにせ「即物」なので。しかし、バッハ時代にそんな演奏をしていたわけではない。

そんなのではなくて、バッハが聞いていたであろうものを再現しようという方向性になると、昔の楽器(レプリカ)を使って、演奏についても当時の慣習をなるべく再現する(いわゆる古楽演奏)。もっとも、録音残ってるわけじゃないから、想像というか研究だけど。

そして現代の私たちが、ピリオド楽器を使いたいというのではなくて、現代のピアノで、でも「ロマン主義的バッハ演奏」のような、勝手に「いい感じ」に弾くのでもなくて、何かしら「原典忠実」に弾こうとするとどうすればいいのかというと、それはもうここまでの流れで、答えがひとつに決まるようなもんじゃないことは容易に想像つきます。

とりあえず、昭和の音楽教室でよく使われてた全音版のバッハやモーツァルトは、「ロマン主義的」な味付けをされた楽譜(ブゾーニ版を下敷きとするなど)であることが多かったけど、今は「原典版を買ってきなさい」とか言われるわけですよね。

その、スカスカしていてどう弾いたらよいかわからないような楽譜を見つつ、その読み取り方はたとえば古楽演奏における研究成果を参考にして、あくまでも気持ちはバッハに寄りそう。

そう、音源を耳コピするのではなくて、楽譜から読み取って忠実に表現しようとする態度がクラシック的。

その態度があれば、モーツァルトも、バッハも、藤倉大の音楽もクラシック。ポップスとか、ジャズとは違うジャンルの音楽です。


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コメント (2)
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