アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

西洋音楽史(12) ロマン派の鍵盤音楽

2021年07月27日 | ピアノ
放送大学の期末テストは、四択問題が10個並んでるシンプルなもので、放送授業をまだ全部聞いてなくても(^^;; 提出に問題はなかったのでちゃんと期日どおり出しました。

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で、聞いてなかったところを埋めております…

「ロマン派」「ロマンス」…あまりにも馴染みある言葉で、語源とか考えたことなかったんだけど。語源となる「roman」は「中世ロマン語で書かれた物語」ですって。ある特定の言語で書くからって中身はいろいろだろうと思いますが、「冒険や想像力を膨らませる伝奇的な物語」という特徴があったので「ロマン的」というと、幻想的、冒険的、不可思議な、現実離れした、というような意味合いになったんですって。

「時代の気分」というか、自意識、自由な精神、独立心を持つようになった市民層が文化の担い手になり、感情や主観や内面性を尊重するようになった。「明晰で可視的な世界」よりも「目に見えない世界」「無限なるものへの憧憬」を求める姿勢。

シューベルトの「さすらい人幻想曲」とかメンデルスゾーン無言歌にある「さすらい人」とか、シューマンの「流浪の民」とかあるので「さすらいたい気分なのかな?」となんとなく思っていました(^^;; たぶんある時代に取り上げられやすい題材というかテーマっていうのがあるのですよね。そういう時代の気分でいうと、ソナタみたいなかっちりした、具体的な意味を持たないものより叙情的小品が好まれる。「子供の情景」とか。あるいは、ブリリアントなもの。「華麗なる~」とか。

ツェルニーの著書「ピアノ演奏の基礎」によれば、ピアノも場に応じて弾き方を変える必要がある、と。曰く、「大ホールで演奏する際には、力強いタッチで音を際立たせ、最大限に早いテンポで完璧に弾いてこそ、聴衆に強い演奏を与えることができる」(それ、ピアノ演奏の「基礎」なのか!?)

そうやって弾けるピアノのという楽器は、メカニックがしっかりしてなきゃいけないので、要するに、時代の空気があり、演奏のありかたがあるだけでなく、それを支える機械技術があってリストの超絶技巧曲が成り立っている。

だからもちろん、作曲家たちは、ピアノというハードウェアの状況に基づいて作曲をする。「ロマン派」の時代は、ピアノ技術発展の時代でもあって、たとえば金属フレームの導入、ダブル・エスケープメント・アクションの発明、ハンマー材質の変化といったようなことがあり、それらのことから各作曲家は影響を受けている。

ショパンの作曲様式の本質は「イタリア・オペラに基づく歌唱的な旋律」と「バッハに由来する対位法」の融合にあるとか(チャールズ・ローゼンによる)。であれば、鉄の支柱が入ったことで豊かな響きを獲得したピアノにより、長い音で「うたえる」ようになったことに意味があっただろうし、

リストが「ラ・カンパネラ」のような曲を作るにあたっては、ダブル・エスケープメント・アクションのピアノの存在を前提としていただろうし、

シューマンが豊かな内声部を持つ曲を作るにあたっては、音の繊細な弾き分けに適したウィーン式ピアノを念頭に置いていたのだろう。

…というのは、私の考えではなくてテキストに書いてあったのだけど、まぁそりゃリストにはダブル・エスケープメントのピアノが必要でしょうね…それは当然として、シューマンがピアノ曲を作曲したころに使っていたのはもっぱらウィーン式ピアノだったというのは考えたことがなかった。鉄の支柱はなく、ハンマーヘッドは革。

「シューマンの音楽には、リストやショパンのような同音連打を含む早い走句も、高音域における強打も、オペラのアリアのような情熱的な息の長い旋律もほとんど見当たらない」「内声部が豊で、ポリフォニック」なるほどそうかな? そんな気もする。それであんなに弾きにくいのか。

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