都市徘徊blog

徒然まちあるき日記

博幸印刷/川田邸

2022-02-09 | 千代田区 
博幸印刷/川田邸・東戸陸運貨物協同組合
所在地:千代田区 西神田3-5-1
構造・階数:木・3/2
建設年:1929(昭和4)
解体年:2010(平成22)頃
Photo 2005.3.25

 この界隈では再開発によって千代田ファーストビルの東館(右後方)と西館(左後方)が建てられたが、写真の建物はその2つのビルの間の一角にしばらく残っていたもの。千代田ファーストビルの東館は1998年竣工、西館は2004年に完成していたが、間にあったこの建物は、その後も数年の間残されていた。

 右側の建物は赤瓦の切妻屋根が載ったハーフティンバー様の洋風建築。『日本近代建築総覧』には、この建物が「東戸陸運貨物協同組合」であると記されているが、1973年以降の住宅地図ではその名は見当たらない。ただ、1973年と1982年のゼンリン住宅地図には、この場所に川田邸と千代田運送事業協組の2つが記されている。東戸陸運貨物協同組合と千代田運送事業協組では微妙に名前が異なるが、やはりこの建物が総覧掲載のものに該当していたようだった。なお、1991年の住宅地図では、川田・長島邸になっており、更に1998年には川田邸のみになっている。
 建物1階には、角側(写真右側)に観音開き?の扉があり、左隅のアーチ型の箇所にも入口があったようだ。少々区別が付かないが、どちらかは川田邸、もう一方は小規模な事務所の入口だったらしい。

 一方、左側のモルタル塗り3階建てのシンプルな看板建築は博幸印刷。こちらは1973年の住宅地図には社名が見当たらないが、少なくとも1982年以降はずっと博幸印刷(株)として掲載されていたもの。

 かつてこの街区には最高でも5階建ての建物しか建っていなかったが、千代田ファーストビル西館は32階建て。超高層ビルの足下に木造2階建てが2軒だけポツンと建っている様子は、かなり奇妙なものだった。

 Google Street Viewで見ると2009年12月時点では存続していたことが分かる。そして現在、同所にはウェルスクエア神保町(RC、10F)という2012年2月竣工のマンションが建っている。そこからするとこの2つの建物は2010年頃に解体されたのではないかと思われる。

博幸印刷、他/西神田3丁目 - ぼくの近代建築コレクション

Tokyo Lost Architecture  
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コメント
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