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九段下ビル(旧今川小路共同建築)
所在地:千代田区 神田神保町3-4
構造・階数:RC・3
建設年:1927(昭和2)
解体年:2012(平成24)
Photo 2006.1.27(記事中記載のないものは全て同日)
内部にも入ったことがあるのでそれらの写真も記録として(居室には入っていない)。上写真は入口から2階への階段。
記事中の写真が建物内のどの部分のものだったかは、昔のことでもあり記憶が定かでない。ただ、前の記事でも記したが、1階が店舗で2階は店主の部屋、3階は一般の賃貸住宅だったという。また下記、土木学会の資料内にある平面図から考えると、東西に貫通した廊下は3階だけだったようだ。従って、廊下の写真は3階だったのだろう。
3階の廊下
1階の店舗は最期の頃まで営業していたので、そちらは外観も店内もきれいにされていた。また使われていた部屋の中は改装されたりして、掃除もされてそれなりにきれいだったのかもしれないが、階段や廊下、屋上といった共用スペースはあまりメンテナンスされておらず、2000年代に訪れた頃にはかなり傷んだ状態で、まるで廃墟のようだった。
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廊下の天井は、モルタルが一部剥落して天井裏が見えていた。
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共用トイレの扉が開きっぱなしで、階段室からトイレが見えている。壁の塗装は剥げ、鉄製手摺は錆びていた。
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一部の階段は荷物かゴミで埋まり、屋上へ上れない状態。
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この階段室には洗面があった。
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老朽化してくすんではいたが、この洗面は多少利用されていたらしく比較的きれいだった。
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一方、トイレはかなりマズイ状態。このような建物で働いたり住むのはやはりためらわれてしまう。
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屋上はいろいろなものが溜まって散乱した状況。
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屋上への出入口だったのか、屋上の倉庫だったのかも分からない状態。
東日本大震災の後、耐震性が保証できないとして解体が決まり、九段下ビルは2012年に解体された。その後、しばらくは駐車場になった後、ここには専修大学の新校舎が2020年に竣工している。
跡地に完成した専修大学神田キャンパス新校舎(10号館)
Photo 2020.6.23
九段下ビルは震災復興建築としての歴史的価値はあったが、定期的な手入れがされていなかったらしく、かなり傷んでいた。鉄筋がむき出しになって錆びるところまでにはなっていなかったようだが、あちこちの天井や壁が剥がれ、トイレや洗面も傷んでいる状況ではかなり修繕をしない限り再生は難しい。電気関係も貧弱だろうし上下水道の管などもボロボロだっただろう。それら全てを取り換えて耐震補強もするとなると、建て替えとあまり変わらない費用が掛かってしまうかもしれない。かなりの補助をしない限り、所有者だけで改修するのは無理なように感じられた。
自治体が買い取ったり、所有者が寄贈すれば存続もできたかもしれないが、装飾がきれいな洋館とかではないどちらかというと地味な居住兼用店舗+オフィスで、結構傷んでいる状況では、やはりなかなか残せないのかもしれない。
ところで、個人的には古い建物は好きだが廃墟はさほど好きではない。外観だけで十分。本当は廃墟などではなく手入れして使われている方がいい。以前の記事の原美術館や旧相互無尽会社本社などは内外が共にきれいだっただけに惜しかった。その意味で九段下ビルは微妙な建物だった気がする。
九段下ビル - Wikipedia
土木学会図書館|土木建築工事画報|第4巻11号 - 04-11-0923.pdf
九段下ビル - 廃墟系
九段下ビル取り壊しへ〜ビルの内外 - 東京 DOWNTOWN STREET 1980's
九段下ビル内部潜入〜神田神保町 | 東京街歩き〜旅と車窓と徘徊の日々
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九段下ビル(旧 今川小路共同建築)
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