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大和呉服橋ビル
所在地:千代田区 大手町2-6
構造・階数:SRC・9+B3
建設年:1956(昭和31)
解体年:2017(平成29)
備考 :1966、1970、2009に改築
Photo 2006.1.28
竣工以来、大和証券の本社ビルとして長い間使われていたビル。Wikipedia等によると2007年に大和証券が転出し、その後2010年からはパソナグループの本部ビルになっていたそうだ。
容積率制に移行する前の絶対高さ規制時代の建物なので、大和証券の看板が載る塔屋以外の部分の軒高は31m以下になっていたのではないかと思う。開口部が大きくシャープな印象のモダニズムのオフィスビル。ガラスなのかブラインドなどの色なのか分からないが、薄緑色の外観が印象的だった。
南北2ヶ所に塔屋(EVの上屋)があったが、北側の塔屋上にはロケット状の塔が載せられていた。これがアンテナ的なもので実用のものだったのか、単なる装飾・シンボルタワーだったのかは知らず。パソナのビルになった後もこの塔は屋上に載っていた。
大和証券の転出後、パソナになる前のようす Photo 2009.1.18
日曜日だったこともあり灯りも点いておらず、このまま壊されてしまうのかと思ったが、その後、外観は大きく変化することとなった。
後方の黒っぽい高層ビルはJXビル、左端の超高層ビルは朝日生命大手町ビル。
パソナの本社になってしばらく経った頃のようす Photo 2014.5.4
外壁が大幅に改修され窓割も替えられた。外壁は半分ほどが壁面緑化され、1Fには人工照明を用いた水田も作られた。当時、この水田はしばしばメディアにも採り上げられていた。
壁面緑化のようす Photo 2014.5.6
季節によっては花も咲いていた。当時、壁面緑化を大々的に行った建物は都心では珍しかったので、会社の業務内容はともかく、このような建物が増えていくのも面白いなと考えていたのだが、結局、これは数年で終わってしまい、超巨大な高層ビルがこの一帯には建てられることになり、この建物もあっという間に解体されたのだった。
屋内での稲の栽培 Photo 2011.1.9
人工照明で光を当て、温湿度も管理されていたのだろう。1月に通り掛かった際にも青々と稲が育っていた。ただ、人工照明を当てて暖房をして稲作をすることが、エネルギー的に本当に環境に優しいことだったのかどうかは知らない。多分にショールーム的なものだったのかもしれないと、今となっては思う。
大和呉服橋ビルとJXビルは、東京駅前常盤橋プロジェクト(大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発事業)に伴い解体された。西側の朝日生命大手町ビルや日本ビルヂングも近日中に解体されるはずである。丸の内、大手町、八重洲、日本橋、界隈の建物は次々に解体され、跡地では巨大かつ超高層のビルの建設が相次いでいる。
大和呉服橋ビル - Wikipedia
Tokyo Lost Architecture 日本橋界隈 - 都市徘徊blog
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