ベッラのブログ   soprano lirico spinto Bella Cantabile  ♪ ♫

時事問題を中心にブログを書く日々です。
イタリアオペラのソプラノで趣味は読書(歴女のハシクレ)です。日本が大好き。

ジーノ・ベーキの歌うナポレターナ「君に告げて」

2011年05月16日 | 歌曲
GINO BECHI SINGS " DICITINCELLO VUJE "


なつかしいマエストロ、ジーノ・ベーキ。
私はベーキの最晩年の教え子だった。
デル・モナコのレッスンとはまた違って、具体的なものだった。
デル・モナコは歌とドラマのせめぎあいを説いて下さったけれど。
若い私には、それよりもベルカント唱法を究めたかった。
日本で学んだ「ベルカント」はイタリアでは「違う」、日本はまだまだドイツ発声が混じっていた。

ベーキは私にヴェルディの伝統的な歌いかた、ベルカントを教えて下さった。
日本では知られていないけれど、戦後イタリアオペラの復興は、ジーノ・ベーキの歌うヴェルディ「ナブッコ」だった。
私は、その時のライヴレコード、マリア・カラスとの共演のものを偶然もっていた。
当時はバスティアニーニもベルゴンツイもベーキの歌に学んだ。
「発声の神様」とも呼ばれ、ベルカントの権威、文字通りイタリアオペラ最高の名歌手だった。

私は、彼がそんなに偉い人とも知らず、レッスンを受けた。
若い時は怖いものなしで、今思うと冷や汗が出てくる。
フィレンツェの標準語で話す声は美しく響く。


彼は晩年でも第一線で歌えるような偉大な声を持っていた。
「声はBまで出るんだけど、息が続かなくなった」って。
若い歌手はもっと息が続かないんですけど・・・。

「マエストロ」というよりは、偉大な芸術家であった。
コメント (3)
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ダニエル・バレンボイムの弾く「チャイコフスキーピアノ協奏曲第」より

2011年05月16日 | 芸術
Tchaikovsky Piano Concerto 1


天才ピアニスト、ダニエル・バレンボイムを実際に聴いたのは、彼が日本では無名で切符が大量に売れ残り、ついに500円という料金になった時だった。

彼はベートーヴェンの「ハンマークラヴィーア」を弾いた。
ベートーヴェン最高の難曲でありその深遠なる世界は並みのピアニストでは到底無理、という名曲を、なんと素晴らしく、高らかに弾いたことでしょう。
感動のあまり、拍手を忘れたほどだった。
私は子どもだった。でも彼がまぎれもない天才だということを、ひしひしと感じた。

彼の夫人は女流チェリストのジャクリーヌ。デュプレ、まもなく亡くなった。
それからの彼は世界最高峰のピアニストだったのに、指揮者としてオペラやシンフォニーを振った。
そしてまた、ピアニストに戻って、並みいる現役ピアニストを真っ青にした。

なつかしい無名時代のバレンボイム、そして巨匠であるバレンボイム、音楽へのひたむきさはちっとも変っていない。

チャイコフスキーのピアノ協奏曲は、聴きあきていた。
リヒテル、ホロヴィッツ、アルゲリッチ、ルービンスタイン、その他たくさん聴いた。
しかし、このバレンボイムのピアノを聴いて常に感じるのは彼の演奏はどこかに「覚悟」を感じることだった。
ワーグナーを指揮するバレンボイム、ヴェルディを指揮するバレンボイム、そしてピアノを演奏する「天から降りてきたような才能」のバレンボイム、そこまでやるか、という天才ぶりを私に示し、私はそれに酔った。至福の音楽でもあった。

    
コメント (2)
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