★ 1972年、メトロポリタン歌劇場での実演、ヴェルディの「ドン・カルロ」、
当時最高とされたコレッリとカバリエの「声の競演」というより、もはや
「声の格闘技」といったほうがいいかもしれない。
「偉大な声」と呼ばれる素晴らしい歌手が喉を競った時代であった。
今ではこうした「はみ出した」ような歌唱は許されないし、それだけの大きなスケールを持つ声楽家はその力を十分に
発揮できないような時代になったのではないかと思う。
ヴェルディ『ドン・カルロ』・・・スペインの皇子カルロの父であるフィリッポ2世の王妃となったエリザベッタ、
かつて二人は婚約していたが、政略結婚によってエリザベッタはカルロの父であり、
スペイン皇帝フィリッポ2世の王妃となる。
物語はシラーの劇「ドン・カルロス」が原作となっていて歴史劇であり、実在の人物が登場している。
スペイン皇帝フィリッポ2世は「無敵艦隊」を持ち、ローマカトリックが背後に控え、新教徒を迫害。
それに反発し「フランドルの民を救いたい」という皇子カルロ、複雑な事情もある。
カルロはまだ継母となったエリザベッタに思いを寄せており、エリザベッタはカルロの危険を思い、厳しい言葉で叱責する。
「そなたは父を殺しその血塗られた手で、この母を祭壇に導くがよい」
エリザベッタはカルロを護るために告げた言葉でもあったが、カルロは絶望して走り去る。
「おお。神様、カルロを護られた」と神に感謝するエリザベッタ。
・・・素晴らしい名場面だが、このコレッリとカバリエ、
これはすごい、「声の格闘技」で伝説的なスリリングな演奏である。(愛の言葉よりも声の威力の果し合いで面白い)
聴衆は狂喜!! これを許した指揮者もさすが。
FRANCO CORELLI & MONTSERRAT CABALLE・ "IO VENGO A DOMANDAR"
★ そしてフィナーレはこれ!! カバリエ、最高音を長く伸ばす、聴衆狂喜!!
M. Caballe & F. Corelli "Spectacular End" Don Carlo 72
Metropolitan Opera Orchestra
Francesco Molinari-Pradelli, conductor
Metropolitan Opera New York, 22.IV.1972