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時事問題を中心にブログを書く日々です。
イタリアオペラのソプラノで趣味は読書(歴女のハシクレ)です。日本が大好き。

俊英、佐藤健志氏が「安倍談話」について語る。(メールマガジン)

2015年08月19日 | 政治

★ 佐藤健志氏が「安倍談話」について見解を出されました。以下、メルマガです。


8月14日、戦後70年を記念した「安倍談話」が発表されました。
反応は(当然ながら)賛否こもごもといったところ。
現政権に批判的な人々が「ちゃんと謝罪していない」といった反応を見せているのはもちろん、現政権を支持する人々の間にも「歴史に十分、筋を通していない」という不満があるようです。

これ自体はもっともな話。
今回の談話に、さまざまな制約がつきまとったことは疑いえない。
諸外国との関係はもとより、国内の状況を見ても、安保法制の審議がゴタついたり、内閣支持率が低下傾向を見せたりしています。
良くも悪くも、思い切ったことが言える状況ではないでしょう。

総理官邸ホームページに公表された談話全文を見ても、歯切れがあまり良くないというか、〈無難なところで抑えた〉(ないし、抑えざるをえなかった)印象がありました。
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/discource/20150814danwa.html

ただし、そのような条件のもとで発表された談話ということを前提にすれば、かなり頑張ったのではないでしょうか。

とくに評価したいのは、先週の記事でも触れた「反省と謝罪の分離」を、しっかり盛り込んだこと。
このくだりです。

日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。
しかし、それでもなお、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります。

〈歴史と向き合いつづけるが、謝罪を続けることはしない〉と、ハッキリ明言しました。
ついでにこういう表現をすれば、
「向き合うだけでは足りない! 謝罪を続けろ!」
とは、さすがに主張しにくい。

戦後50年にあたって談話を発表し、「痛切な反省と、心からのお詫びの気持ち」を表明した村山元総理は、今回の談話の内容を批判、「自分の談話が継承されたという認識はない」という趣旨のコメントをしています。
http://mainichi.jp/select/news/20150815k0000m010114000c.html?fm=mnm

けれどもエドマンド・バークも述べているように、過去の世代が行ったことを根拠として、現在の世代の責任を追及するのは、決して正義にかなったことではない。
村山元総理のコメントは、裏返しの形にこそなっているものの、安倍談話の功績を正当に評価したものと言えるでしょう。

(※) バークの発言については、この本の170ページをどうぞ。
「〈新訳〉フランス革命の省察 『保守主義の父』かく語りき」(PHP研究所)
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だとしても、安倍談話に気になる点がないわけではありません。

いわゆる「昭和の戦争」の背景として、西洋諸国の植民地支配を挙げつつ、〈日本には日本の正義があった〉ことに触れなかったのもそうですが、より重大だと思うのはこちら。
第二次大戦後の国際秩序について、善意に基づいた公正なものと位置づけすぎている点です。

関連して指摘したいのは、戦後70年間の歴史をめぐり、安倍談話がある事柄について、まったく触れなかったこと。
お分かりですね?
1989年まで続いた、アメリカとソ連(現ロシア)の構造的対立、いわゆる〈冷戦〉です。

談話によると、わが国が敗戦後の苦難を切り抜けられたのは、日本人みずからの努力に加えて、

「敵として熾烈(しれつ)に戦った、米国、豪州、欧州諸国をはじめ、本当にたくさんの国々から、恩讐を越えて、善意と支援の手が差しのべられたおかげ」

となっていますが、これはいささかキレイゴトにすぎる。
「善意と支援の手」の陰には、ソ連をはじめとする社会主義諸国に対抗するうえで、日本を自分たちの側に引き込まねばならないという、アメリカの戦略的な計算がありました。
だからこそ、豪州や欧州諸国も同調したのです。


ここを看過してしまうと、「アメリカに代表される自由主義的な価値観=世界の普遍的な正義」ということになりかねません。
中国や韓国に謝罪を続ける宿命から解放されるかわり、アメリカに感謝と協調(ないし追従)を続ける宿命が待っている次第。


「愛国のパラドックス」に収録された「日米協調はなぜ絶対視されるのか」や「韓国の反日を封じ込める道はある」でも論じましたが、本当の歴史(認識)問題は、中国や韓国との間ではなく、アメリカとの間にある
向こうが求めてくるものが、反省や謝罪ではなく、構造改革や規制緩和なので、事の本質が見えにくくなっているだけなのです。

(※)詳細はこちらをどうぞ。
「愛国のパラドックス 『右か左か』の時代は終わった」(アスペクト)
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http://amzn.to/1CbFYXj(電子版)

自民党の高村副総裁は、最近の講演で
「頼むから オウンゴールは やめてくれ」
という川柳を披露しましたが、
それにならえば
「めでたさも 中くらいなり 安倍談話」
というところではないでしょうか?
http://www.asahi.com/articles/ASH895KNKH89UTFK006.html
ではでは♪

★ 佐藤氏の仰っていることは、さすがです。
  「たちあがれ日本」からいた政治家「次世代の党」は(私の個人的な勘)もはや自民党の安倍氏とは内心決裂していると考えていいと思います。
  「たちあがれ日本」の英傑たちは、「自民党」とは考えが違う一線を譲らないし、「下請け」ではないからです!!

また「河野談話撤廃」について、私は活動の一端として昨年上京しましたが、その中に自民党議員はただひとりだった・・・。
   大半が「次世代の党」だったのです!!しかもその自民党議員は自民党内で激しく叱責されたとききます。

   (ねつ造された慰安婦問題の解決に取り組む「慰安婦の真実」国民運動(加瀬英明代表)が、
   河野談話の撤廃を求める署名3万867人分を国に提出、河野洋平氏を民事訴訟で提訴する考えを明らかにした。)

   理由を述べると長くなるのでここには書きませんが、私が驚いたのはそれを偶然にも水島氏が悟っていたことです。
   その点、水島氏と三輪氏は全く違うので昨日の「討論」でも面白かった。三輪氏は哀れでした。
   水島氏にはいろんな立場?もあることでしょうし、偶然、靖国神社前で本音を言ったのかも知れません。
   西部先生門下の佐藤健志氏は中野剛志氏とも意志が通じ合い、注目すべき存在です。
 
コメント (7)
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