ベッラのブログ   soprano lirico spinto Bella Cantabile  ♪ ♫

時事問題を中心にブログを書く日々です。
イタリアオペラのソプラノで趣味は読書(歴女のハシクレ)です。日本が大好き。

巨匠ホロヴィッツ、ホワイトハウスにてショパン「ポロネーズ英雄」

2010年08月20日 | 芸術
HOROWITZ AT THE WHITE HOUSE 5-Chopin Polonaise Heroic


ホロヴィッツ・・・ロシア革命でアメリカに亡命、名指揮者トスカニーニの娘と結婚、
天才の中の天才、ピアノがどうとか、そういう次元ではない。
すっかりひこまれてしまって・・・音楽の関係である友人のピアニストにはじめて聴かせてもらった10代のころの記憶。
それは「スクリャービン」を弾くホロヴィッツのレコード。

そして今、偶然見つけたショパンの「ポロネーズ英雄」
聴いていると、演奏に即興的な魅力があり、時には音をはずすことがあっても、それが必然のように感じてしまう・・・。
普段、こわい奥さんに叱られながら、冗談を言って、巨匠としての威厳はどこへやら。
普通なら笑えるのだけれど、彼のは何もかも悲しい笑い・・・。

今日、ぐらっぱ亭様のブログを拝見、若い演奏家のはつらつとした演奏を御紹介なさっていた。私はもう何年もコンサートとは縁がないので、昔の名演奏を聴いてみた。
そしてさりげなく、この動画に出会った。
熟知しているはずのホロヴィッツが、聴き手が年齢を重ねると、以前聴きとれなかった「何か」が迫ってくる・・・。
左手の強烈な打鍵、それは右の旋律とわずかに時間をずらして少なからずのショックを与える、そして、長いフレージングで一気にクライマックスへと駆け上がる巨匠の激しさと郷愁を感じさせる音色。

時には思わぬミスタッチもある。でもそれは彼の場合、ミスではない。音楽の必然なのだ、そう思わせてしまうのは天才の証明か・・・

今の時代、彼のように弾くタイプのピアニストはいない。
ヴィルトゥオーゾ、とは彼の演奏そのものである。

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 前の記事へ | トップ | ルービンスタインの弾くショ... »

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
天才 (ぐらっぱ亭)
2010-08-21 08:40:49
なるほど、ミスではなく必然ですか。それが天才たるゆえんでしょうか。さすがプロの目は鋭いですね。それにしても、確かにミスタッチ、素人にもはっきり分かるほど目立ちますね。そう言えば、若き日、パリのSALLE GAVEAUであのズビアトスラフ・リヒテルのリサイタルを結構間近で聴いた時に、ミスタッチして「パルドン!」と思わず声が漏れたのにはかなり驚きましたね。巨匠になれば、少々のミスタッチなど、問題にならないんでしょうね。新進の場合はそうは行かないでしょうけど。カーター大統領とロザリン夫人、まだ若いですね。懐かしい映像。
返信する
リヒテル!! (ベッラ・カンタービレ ぐらっぱ亭様)
2010-08-21 09:04:55
リヒテル!当時「鉄のカーテン」で謎だった天才ピアニスト、その初来日、徹夜でキップを求めました。そして当日、リヒテルは現れ(あたりまえだけど、キャンセルが多い人という評判だったのでドキドキ)西側のピアニストとは全く違う、それも超弩級のすごい演奏を聴かされましたよ、ショック、でした。「展覧会の絵」は会場を興奮のるつぼに!しかし、巨匠リヒテルは何事もなかったかのように、アンコールもなしに退場、ピアノというよりオーケストラですね。ぐらっぱ亭様はかつてパリにお住まいの時、デル・モナコの最後の素晴らしいコンサートをはじめ、あの「ピアノの鉄人」リヒテルを、しかも前で・・・パルドン、ですって!
完全主義者とききましたが・・・それに岩城宏之さんの本では、幼稚園のアップライトピアノで一晩中練習していた、とか。
ひとつの音を何時間も練習、ということも聴きました。オイストラッフもそうでしたが、スターリンの粛清におびえる日々、ドアをノックされただけでドキッとした、彼の熾烈な人生、「ガリーナ自伝」(ヴィシネフスカヤ著)で読みました。夫君ロストロポーヴィッチのソ連追放など、驚きました。そんな中で・・・亡命した演奏家も残った演奏家も、想像を絶することだったのでしょうね。
ぐらっぱ亭様は語学の天才、いったい何国語おできになるのでしょう。スビャトスラフ、と思っていたら、ズビアトスラフ・リヒテルだったのですね。ロシア人が発音したのがそうでした。
返信する
ありがとうございました。 (はな)
2010-08-21 09:45:46
手がグローブのようで…打鍵が…ピアノが空中分解しそうな迫力。

大柄で楽器が小さく見える‥‥(最初、ありえないけけど小さいピアノなの?と思いました)

平和ボケで育った人(揶揄しているのではないです)にはこういうショパンは‥‥無理ですね。
どちらが幸せかわからないですが‥‥。

返信する
このころの演奏家は (ベッラ・カンタービレ はな様)
2010-08-22 00:04:12
戦争や亡命で大変な世の中で、その演奏は凄みを帯びていました。
だけど人間的にたまらなく優しい、そして包容力があります。
今のおぼっちゃまやおじょうちゃまとは違いますね。年齢を重ねてから、また新たな感動ありです。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

芸術」カテゴリの最新記事