昨夜は東宮夫妻の宮城県ご訪問のことで、困惑していた。
パソコンでこのコンサートを聴きながら、「これでいいのかな、ズビン・メータのオペラの指揮!」と思いながら。
メータは指揮者として巨匠のひとりであるが、若いころから偉大なソリストとの共演に恵まれ(スターンにかわいがられた)、
大きなコンサートはほとんど仕切ってきたと言って過言ではない。
スターンとの共演の時は、まだ若く、好ましかったが、だんだん年齢と共にショー化してきたような危惧を感じていた。
大きな目立つコンサートはほとんどが、インド人指揮者メータ登場。
1、ベルリンフイルとイスラエルフィルによる共演(メータは頭を後ろから撃たれるかもしれないと覚悟していたそうだ)
2、イスラエルでワーグナー演奏(聴衆は帰る人もいたが、メータは音楽を聴け、とワーグナー・プログラムを組む)
3、3テノーレ共演のローマライヴ(第一回指揮者)パヴァロッティ・ドミンゴ・カレーラス夢の共演
などなど・・・。
イスラエルでワーグナーを演奏したり、戦後不可能と思われたことができるのは自分がインド人だから、と言っていた。
夫人はイタリア人で、イタリア語は堪能。だけどイタリアオペラの指揮では、イージーゴーイングというか、
「イケイケ」指揮、この演奏もそうだけれど、なんでこんなに速いの?
この速さで歌えるのは、バリトンのレオ・ヌッチが若いころ、ロッシーニを得意にしていたからできると思う!
ソプラノのダニエラ・デッシはこの役には少し軽い声だけれど、見事だ。
テノーレのホセ・クーラは指揮者でもあり、メータの指揮を面白くとらえている・・・
これはヌッチがうまく歌っている、この速度で、言葉を鮮明に浮かび上がらせ、しかも的確な表現、称賛されるべき、と思った。
これが1950年代の歌手、たとえばステッラやカラスだったら・・・特にステッラだったらスコア投げるでしょうよ。
バスティアニーニやグエルフィ、カップッチッリだって文句言って「ヴェルディの表現は」とたしなめるでしょう。
1950年代のフイルム、マリオ・デル・モナコ、エットレ・バスティアニーニ、そしてトルコの名ソプラノ、レイラ・ジェンチェル、
マエストロ(デル・モナコ先生)、目が血走って見えますが・・・。ともかく素晴らしい演奏。
ところで私がはじめて聴いた「トロヴァトーレ」の録音はこれだった!!
ラジオから流れてくるカラヤン指揮の「トロヴァトーレ」(場面は違いますが)
コレッリ、バスティアニーニ、プライスという名歌手たち、
そしてカラヤンの指揮は美しく、また歌い手にとってブレス(息)の余裕のある自然な芸術だった。
フィナーレは、さすがですね。
初めて聴いた私のようなシロウトにも、カラヤンの偉大さが伝わってきます。
オーケストラ、歌手、聴衆、そして指揮者であるカラヤン、すべてが一体となって、ひとつの空間を作り上げている…ように感じました。
素晴らしい音楽は、人を幸せにする力があるのてすね。
リュートという弦楽器を奏でながら愛の歌を歌ったり。
日本では見あたらないのですが・・・「琵琶法師」は
平家物語を琵琶を弾きながら語りますが・・・
このオペラの背景は、スペインの名門であるルーナ伯爵家のふたりの兄弟をめぐって繰り広げられる物語。
物語については複雑なので、簡単にいいますと
兄と弟が幼いころ、離ればなれになり、戦場で敵として
戦います。兄はルーナ伯爵となり、弟は他民族の子として
育ち、ともに女官レオノーラに恋します。
レオノーラは暗闇でいつものように歌う吟遊詩人の
マンリーコと思い、ルーナ伯爵を間違ってしまいます。
仇敵同士だった二人の男性が鉢合わせすることになり
決闘へと・・・。
レオノーラが人違いしたのも・・・兄弟だったので
きっと似ていたのでしょう。