その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

NHKスペシャル 「メイド・イン・ジャパン 逆襲のシナリオ 第2回 復活への新戦略」

2012-10-29 23:20:34 | 日記 (2012.8~)
 NHKスペシャル 「メイド・イン・ジャパン 逆襲のシナリオ」の2日目を見ました。初日の放送が、苦戦中の日系メーカーのソニー、シャープを取り上げたのに対して、2日目は、ダイキン、東レなど巧みにグローバル競争を勝ち抜いている日系企業やベンチャー企業にスポットライトを当てます。成功企業の実践から逆襲のシナリオを探るというわけです。1日目の番組を見たときは一種の絶望感に捕らわれたところもあるのですが、2日目は、やり方で日本企業もまだまだ戦えるという希望が沸いてくる内容です。

感じたことを思いつくままにいくつか列挙します。

○ リーダーが大事
 グローバル競争の中、経営者のリーダーシップがますます重要となっていることが分かります。ハイアールの経営に入ったサンヨーの冷蔵庫事業が、サンヨー時代にはうまく行かなかったにもかかわらず、中国人経営者の下で、見事に復活しているエピソードは驚きでした。当たり前のことですが、企業の業績における、経営者の影響度がますます高まっていることは間違いないです。

○ 「超継続が革新を生む」
 初日の番組を見て、右肩上がりの経済が終わった今の世の中で、ゆとりのある研究開発活動は難しいのではと感じたのですが、東レが数十年前から長期的視点で研究開発を維持していることや、現在も、技術者の20%の時間を好きな研究にあてて、その成果をつないで新製品開発に活かしているというエピソードには感心しました。グーグルも同様の施策を行っているのは有名な話ですが、日本でもやっている企業はあるわけです。

○ プロディーサー型人材が必要
 大学の先生が言うことなのでちょっと概念的ですが、「知を総動員して人々を動機付け、場を作り、場と場をつなげて、組織全体あるいは組織グループ全体で、実現していく」プロデューサー的人材が求められていると言います(一橋大学 野中郁次郎)。番組では新世代プロデューサーとして、大企業を飛び出して新規事業に臨む若手の動きが紹介されました。どんどん、こういう人材が出てきて欲しいですね。

 日系企業を巡る環境的な厳しさが、今後、強まることはあっても、弱くなることはないでしょう。でも「チャンスがあることはわかりました。・・・ひとりひとり何ができるのか?」という番組の結びは、まさに自分に対する問いと同じものでした。


 10月28日放送

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