2週間前、私のコンサート初めであったC定期で、首を傾げたくなるほど、胸に響くものが無かったN響の演奏。今日はその憂さを晴らしてくれるものと信じて、NHKホールへ。
そして、今日のN響は、私の期待に見事に応えてくれました。圧巻は休憩後のショスタコーヴィチ交響曲第5番。この曲を生で聴くのは2回目なので、他の演奏との比較はできないのですが、集中力と緊張感みなぎる素晴らしい演奏でした。指揮のアクセルロッドは緩急自在にN響をグイグイ引っ張ります。そして、弦の素晴らしいハーモニー、木管陣(特にフルート)の繊細な調べが胸を打ちます。金管陣も2週間前とは別働隊のようにしっかりと仕事をしてくれました。いつもの貧民3階席ですが、大きな音も小さい音もしっかり響いて来ました。もちろん曲自体の演奏難易の差もあるとは思うのですが、あまりにも前回のマーラーとの出来の違いに、ただ驚くばかり。
アクセルロッドという指揮者は全く初めてで、アメリカの中堅指揮者であることをプログラムを読んで知ったのですが、なかなか凄い統率力です。演奏者と正対しながら、自信と情熱あふれる棒さばきは、見栄えも良いし、格好も良いし、見ていて気持ちが良い。アクセントの付け方も明確で、強弱の対比など、曲の輪郭を明確に示してくれます。全体としてはスローなペースだったように感じましたが、曲全体の統一感が崩れないコントロールでした。ブラボーです。
休憩前は、バーンスタインの交響曲第2番「不安の時代」。この曲は全くの初めてですが、違和感なくすんなりと聴くことができました。ピアノ協奏曲のように、指揮者の前でピアノ演奏があり、オーケストラとの掛け合い的なものも入ります。ジャズ的なリズムも入り、楽しめました。カナダ人のピアニストのグッドイヤーはN響には初登場とのことですが、非常に軽快なピアノ演奏で、透明感のある美しい音色です。若手のようですので、是非、これからも来日してほしいです。
私の席はいつもの3階貧民エリア。今日は指揮者の知名度のせいか、3階席はざっと見たところ半分ぐらいの入り。寂しいぐらいでした。指揮者やプログラムを見て今日来なかった人は、随分惜しいものを逃してしまったと思います。
アクセルロッドの出番は、今回はこの週末の2日だけのようです。是非、引き続き、客演してほしいです。
(終演後のNHKホール。だんだんと陽が長くなってます)
NHK交響楽団
第1747回 定期公演 Aプログラム
2013年1月27日(日) 開場 2:00pm 開演 3:00pm
指揮 : ジョン・アクセルロッド
ピアノ:ステュアート・グッドイヤー
NHKホール
バーンスタイン/交響曲 第2番「不安の時代」
ショスタコーヴィチ/交響曲 第5番 ニ短調 作品47