その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

10代のためのプレミアム・コンサート アラン・ギルバート&ニューヨーク・フィルハーモニック

2014-02-14 00:00:19 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 過去に何度か我が子を連れてクラシックのコンサートに行ったのですが、全然響きませんでした。直ぐに居眠りに入るのを見て、かえって親のほうがイライラする始末。なので、最近はそうした無駄な努力は一切止めてました。

 ただ、今回の「10代のためのプレミアムコンサート」は何とニューヨーク・フィル(NYP)。しかもウエスト・サイド・ストーリーのシンフォニック・ダンスとガーシュインのラプソディ・イン・ブルーが含まれている十八番プログラム。更に、好きな小曽根真さんがピアノ独奏!通常の大人向けプログラムは高価で手が出ないけど、ファミリー向け企画のためか、チケット代も何とかなる範囲。これは、行かないわけにはいきません。いうことで、我が子を拉致し、サントリーホールへ連行しました。


≪こんな特等席は私も初めて!≫

 結果は・・・、今回は親子ともども大喜びの演奏会となりました。それは、そうでしょう、こんな素晴らしい演奏者とプログラムなんだから。

 スタートは、小曽根さんの楽しいナビゲーションで始まりました。そして、直ぐにギルバートさんの解説付きのブリテン「青少年のための管弦楽入門」の演奏に入ります(指揮はアシスタントコンダクターのジョシュア・ワイラースタインさん)。ギルバートさんは日本語で解説してくれました。日本人のお母さん(NYPのヴァイオリニストとしてこの日は親子出演)を持つとはいえ、母国語ではない日本語で、カンペを見ながら一生懸命、解説してくれるギルバートさん。全身から誠実オーラが漂ってきます。

 続いては、福島とニューヨークの子供たちが連作した作品「ミュージック・フォー・フクシマ」。日本初演です。福島からの3曲とその各曲に呼応したニューヨークからの3曲の計6曲からなる作品が披露されました。合わせても10分程の小品集ですが、しっかりと聴かせてくれます。演奏後、小曽根さんがP席最前列に座っていた福島からの作曲家さんたちを紹介し、会場からも大拍手でした。

 休憩を挟んでは、ギルバートさんの指揮で、定番であろうウエスト・サイド・ストーリーのシンフォニック・ダンスとガーシュインのラプソディ・イン・ブルー。NYPのとてつもなく肉厚だけどもジューシーで切れ味鋭い高級とんかつのような音に、体が飛ばされてしまうんではないかと思ったほど。加えて、各パートから惜しみなく披露される名人芸にも痺れっぱなし。草食系と肉食系、農耕民族と狩猟民族、というステレオタイプな対比が的を得ているかどうかは別として、在京オケとの(優劣とは別の)違いをまざまざと見せつけられた感じ。

 ラプソディ・イン・ブルーのピアノ独奏を担当した小曽根さん。ナマで聴くのは、2009年のエディンバラ・インターナショナル・ジャズ・フェスティバル以来(こちら①→こちら②→)です。相変わらず、軽快でカッコいいし、何より聞いていてウキウキ楽しくなってきます。余りにNYPの音が大きかったため、合奏部分ではピアノの音が聞こえにくかったというところはあったかと思いましたが、小曽根ワールドを堪能しました。

 そして、暖かい大拍手に応えてのアンコールには、何と小曽根さんとNYPのコントラバス奏者とトロンボーン奏者のトリオによるジャズ演奏(曲名はわかりません)。会場もリズムに合わせて手拍子。「音楽って楽しいよね」という空気がホール一杯に満ち溢れていました。

 弾んだ様々の親子の会話に取り囲まれながら、溜池山王駅に向かう帰りの道すがら、我が子からは「こういうのなら、また来たいかも」との生意気発言。今回が如何に貴重な経験であるかをわきまえないコメントに苦笑いしながらも、喜んでくれたことは素直に嬉しかったです。今回の企画元であるソニー音楽財団及び出演者の皆さんには本当に感謝です。ぜひ、今後もこういった企画を続けてほしいですね。間違いなく音楽の裾野を広げていくと信じます。少なくともこの日で一人は広がりましたので・・・




10代のためのプレミアム・コンサート
アラン・ギルバート&ニューヨーク・フィルハーモニック

日時2014年2月11日(火・祝) 18:00 開演 東京サントリーホール

曲目

ブリテン:青少年のための管弦楽入門
「ミュージック・フォー・フクシマ」~福島とニューヨークの子どもたちによる『ベリー・ヤング・コンポザーズ』プログラム作品(日本初演)
バーンスタイン:『ウエストサイド・ストーリー』から「シンフォニック・ダンス」
ガーシュイン:ラプソディ・イン・ブルー

指揮&ナレーション:アラン・ギルバート
指揮:ジョシュア・ワイラースタイン
ピアノ:小曽根真
ニューヨーク・フィルハーモニック


<Sony Music Foundation 30TH Anniversary concert>

ALAN GILBERT CONDUCTS NEW YORK PHILHARMONIC
PREMIUM CONCERT FOR TEENAGER NO.1
Cond:Joshua Weilerstein
Pf:Makoto Ozone

Britten/ The Young Person's Guide to the Orchestra
"Music for Fukushima" Compositions written by Children of Fukushima and New York under the "Very Young Composers' Program (Japan Premiere)
Bernstein/ Symphonic Dances, West Side Story
Gershwin/ Rhapsody in Blue

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする