その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

井川 意高 『熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録』 双葉社

2014-07-05 11:58:35 | 


 新聞の書評欄にポジティブに取り上げられていたので図書館で予約したのだが、半年経ってやっと廻って来た。大王製紙の創業家3代目社長(のち会長)であった筆者は、100億円を超える金額をギャンブルにつぎ込み、しかも半分を超える金額を子会社から借金した揚句に破綻し、特別背任で懲役4年の刑が確定した(きっと今は服役中)。そんなとんでもない人の懺悔録である。

 本人談だけに、ゴシップ週刊誌を読むよりはましだが、呆れるしかない内容である。図書館の本なので手荒な扱いはできないが、買った本なら破って大便の尻ふき紙として使いたいぐらいだ(お下品で申し訳ありません)。懺悔録と言いつつ、読んでいると、有名人とのつきあいをこれ見よがしに語ったり、最後は自分の不始末を「ギャンブル依存症」と病気のせいにしているのだから、とても反省しているとも思えない。

 本人、子供のころからお金には何の苦労もせず、そして筑駒→東大法学部とおつむのほうもよろしい。家と頭が良くても、こんな社会的責任感を欠いた人間になるだから、育ちが良くて勉強ができることと、社会的責任感とか人間的高潔さとは全く関連しないということは良く分かる。

 唯一なるほどと首肯したのは、筆者のことを記事にしたノンフィクッション作家の佐野眞一氏のこと。如何にでっち上げの文章を書いているかを書かれる側の視点から暴露している。まあ、佐野眞一氏のかつての名声も今や地に落ちてると思うが、さもありなんという感じだ。

 どちらにしても、気分が悪くなる本である。
コメント
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