その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

映画 『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』

2014-07-27 14:01:33 | 映画


 期待以上に楽しめた。どこまでが史実でどこがフィクッションなのかは分からないが「伝記映画」として、またパガニーニ役で熱演するヴァイオリニスト デビッド・ギャレットの「音楽映画」として、そしてビジネスパートナーや恋人との人間関係を描くヒューマンな「エンターテイメント映画」としてなど、色んな見方で楽しめる。

 パガニーニのヴァイオリン曲は演奏会でも何度か聴いているが、パガニーニ本人については殆ど知らなかった。1782年生まれというから、私のイメージよりも早い時期の音楽家だった。子供の頃から父親のスパルタ教育を受け、ヴァイオリンについては超絶技巧の持ち主であったこと。人間的には、放蕩な人物でありながら、子煩悩な人物像が良く表現されていた。

 主演のデビッド・ギャレットはプロのヴァイオリニストだが、この映画で聴かせるパガニーニの演奏は素晴らしい。映画館一杯に広がるヴァイオリンの美しい音は、電磁的処理を施された映画館の音ではあるが、胸を揺さぶられる。ソプラノのアンドレア・デックの清らかな声も、聴き入ってしまう。クラシック音楽が好きな人はこの音楽だけも十分に楽しめると思う。

 そして、映画としても良くできている。パガニーニとウルバーニとの関係はファウスト博士と悪魔メフィストのアナロジーでスリリングだし、主演の両男女優の演技もさることながら現実離れしたウルバーニと山っ気あるが人間味を感じるパパ役クリスチャン・マッケイのほんわかさが奇妙にバランスが取れていて緊張感の中に緩さを感じられるのも良かった。更に、テンポの速い展開は2時間の上映時間は全く飽きることが無い。19世紀のイタリア(ジェノバ?)やロンドンの画像も雰囲気が出ていて楽しめた。

 「アマデウス」のような深みを感じる映画ではないが、見どころが多いので、クラッシク音楽の好き・嫌いにかかわらず、楽しめる佳作だ。



スタッフ
監督 バーナード・ローズ
製作 ロジリン・ヘラー, ガブリエル・バッハー, ダニー・クラウス, クリスティアン・アンガーマイヤー

キャスト
デビッド・ギャレット: ニコロ・パガニーニ
ジャレッド・ハリス: ウルバーニ
アンドレア・デック:シャーロット・ワトソン
クリスチャン・マッケイ: ジョン・ワトソン
ジョエリー・リチャード: ソンエセル・ランガム
コメント
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