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いつもながらですが、会期末終了が迫っているのに気付き、慌てて「ボストン美術館浮世絵名品展 北斎」に出かけました。覚悟はしていましたが、凄い混雑でしたね。浮世絵って、細かいから皆さん近寄って見るので、人の後ろから覗き見る程度では何も分かりません。ですので、鑑賞は結構難儀しました。それでも、行って良かったです、ハイ。
本展覧会では、ボストン美術館のコレクションの中から北斎の登場から晩年に至るまでの作品140点余りが展示されます。「何で、こんな素晴らしい作品群が日本の美術館になくて外国にあるのだ」と溜め息の出ない日本人はいないでしょう。
「冨嶽三十六景」、「諸国瀧廻り」、「諸国名橋奇覧」と言ったどこかで必ず見たはずの風景画のオリジナルの他、「百物語」のお岩さんなど、そのテーマに応じたユニークな構図の切り取り方や美しい色合い、詳細な描写が楽しめます。
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《富獄三十六景 神奈川沖波裏》
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《諸国滝廻り 木曽路ノ奥阿弥陀ヶ瀧》
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《百物語 お岩さん》
個人的には、百人一首で詠まれた歌を絵にした作品が六点展示されていたのですが、それらに興味をそそられました。小野小町や持統天皇など馴染のある歌を「北斎が絵にするとこうなるのか~」と私自身の歌のイメージと絵との相似や相違を探しながらじっくり見ました。猿丸太夫の「奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき」が一番ぴったりだったかな。山の頂に書かれたじっくり見ないと見落としそうな2匹の鹿を発見したした時は、ほくそ笑んでしまいました。
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《百人一首乳母かゑとき 猿丸太夫》
北斎の絵を見ていると、何か懐かしいものに会ったような安心した気持になるのが不思議です。現物を見る機会は少なくても、いろんな場面で刷り込まれているのか、もしくは北斎の描く世界観が同じ日本人として共鳴するところが多いのでしょう。
会期終了まであと1週間なのですが、まだの方にはお勧めします。混雑の覚悟は必要ですが・・・。
2014年11月1日 鑑賞