その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

N響 9月定期Cプロ/ 指揮:広上淳一/ ドヴォルザーク交響曲 第8番ほか

2015-09-13 20:32:51 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)
 2015ー2016シーズンのオープニングコンサート。毎年、この時期のコンサートは私にとっても特別な意味を持ちます。夏休み、甲子園、花火大会などなど夏の高揚感を落ち着かせ、自分自身を日常に呼び戻すイベントなのです。残暑が残る中、NHKホール周辺はいつもの喧騒は無く、オープニングコンサートに最適の静けさが漂っていました。

 この日の指揮は広上淳一さん。日本人指揮者の中でも最近特に注目度の高い方で、N響にも何度か登場しているようですが、私は初めてです。TVで何度か、大きな身振り、手振りでの指揮姿を見ていて、一度聴いてみたいと思っていました。

 前半のラフマニノフのピアノ協奏曲第3番は、ニコライ・ルガンスキーさんのピアノに痺れました。安定したテクニックはもちろんのこと、情熱と冷静さを兼ね備えた演奏で、音楽に身を委ね、楽しむことができます。オケの演奏とピアノ独奏が、ふわっとステージ上で融和するような響きで、その音に包み込まれる私は何とも幸せ気分で一杯でした。

 後半のドヴォルザークの交響曲第8番は広上節が全開。背中越しなので、あの顔芸を見ることは叶いませんが、広上さんのくるくる廻る腕や全身を使った指揮姿は、まるでそれが音楽の一部のよう。普段のN響以上に、オケの個々のメンバーから個性的な音が出ているのが印象的です。「こりゃあ広上音頭だなあ」と思わず、呟いてしまいました。

 比較的スローテンポなドヴォ8は、音楽の造形を浮き出たせます。民族的という以上に、雄弁で表情豊かな音楽でした。ただ、個人的には昨年2月に聴いたネヴィル・マリナーさん指揮の端正なドヴォ8のほうが好みかな。

 今シーズンのN響も期待大です!


《開演前のNHKホール前》

第1814回 定期公演 Cプログラム
2015年9月12日(土) 開場 2:00pm 開演 3:00pm
NHKホール

ラフマニノフ/ピアノ協奏曲 第3番 ニ短調 作品30
(アンコール: ラフマニノフ/プレリュード嬰ト短調 作品32 第12曲)
ドヴォルザーク/交響曲 第8番 ト長調 作品88

指揮:広上淳一
ピアノ:ニコライ・ルガンスキー

No.1814 Subscription (Program C)
Saturday, September 12, 2015 3:00p.m. (doors open at 2:00p.m.)

NHK Hall
Rakhmaninov / Piano Concerto No.3 d minor op.30
Dvořák / Symphony No.8 major op.88

Junichi Hirokami, conductor
Nikolai Lugansky, piano
コメント (2)
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