ご本人たちは全く覚えがないでしょうが、脚本の舘そらみさんと、若夫婦の奥さん役を演じた村井まどかさんとは、以前お話しさせていただいたことがあるので、そのご縁にひきつけられて池袋へ。千秋楽公演を観劇しました。
相手が喜ぶように自分の行動を変化させる主人公は、人によって見られ方が全然違う。それがある事件をきっかけにあぶりだされていくという「人間の多面性に焦点をあてた、問題提起型コメディ演劇」です。
登場人物がそれぞれ個性的で、話の展開もテンポが良いので吸い込まれるように観ました。俳優さんたちも熱演で、チームワークの良さを感じます。
終盤に面白い仕掛けがあります。途中から台本がなくなくなるらしく、字幕で「この後は役者の自由です」と表示されます。さしずめ、 演劇のカデンツァといったところでしょうか。ただ、複数回見れば違いが判るのかもしれませんが、一見ではよくわからないです。こうした手法がよくある展開なのかどうか、私にはわからないですが、試みとしては面白いなあと思いました。
違和感を感じたのは、WHO AM I?というサブタイトル。この演劇、主人公は人からの見られ方が違うことを全く悩ん出ないように見えます。「だって、××は喜んでいるんだから・・・」ということで、割り切っているように見えます。WHO AM I?ではなくWHO ARE YOU?のほうが、この演劇の趣旨ともメインタイトルの「他重人格」にも合っているではないでしょうか?
正直、最後は何が言いたいのかよくわからないまま終わってしまった印象もあります。演劇カデンツァ部分も試みは面白かったですが、言わんとしていることが観客には意味がよくわからない台詞(発言?)もあり、ドラマなのかリアルの今ここにある現実なのか分からず、ドラマとしてのテンポやリズムが盛り下がった感があるのは残念でした。
この芝居、3日5回で終了になってしまうのですが、もっと公演数を積めば、間違いなく完成度が高まっていくものと思います。どこかで再演をみてみたいです。
他重人格 WHO AM I?
日程
2017年07月12日 (水) ~2017年07月15日 (土)
会場
シアターイースト
作:舘そらみ 演出:福島三郎
出演
山崎 彬(悪い芝居)、大久保聡美、貴瀬雄二、
野崎数馬(丸福ボンバーズ)、多田直人(キャラメルボックス)
村井まどか(青年団)、小林瑞紀