その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

奥泉光 『メフィストフェレスの定理 地獄シェイクスピア三部作』(幻戯書房、2013)

2019-04-04 07:30:00 | 

先月、下北沢演劇祭で観劇した『喜劇💛ロミオをジュリエット』の戯曲を単行本を読んでみた。「ロミオとジュリエット」(本書における題は「無限遠点」)のほかにも、「リア王」と「マクベス」を下敷きにして、時期を原作後に、状況を地獄に変えてた2作品(「リヤの三人娘」と「マクベス裁判」)が収められている。

三作品とも、原作の登場人物と悪魔や地獄の住人たちとのコメディタッチな会話をもとにストーリーが展開する。シェイクスピア的な気の利いた洒落やエスプリを漂わせながら、人間の心性をあぶりだすセンスの良い戯曲集だ。地獄の生活を楽しみ過ぎているマクベスを地上に復帰させることで、地獄の苦しみを与えようとする悪魔の画策など、一捻りある仕掛けだ。

一方で、戯曲を読むと、言葉に命を吹き込むのは役者であることが改めて良く分かる。舞台の「喜劇💛ロミオとジュリエット」では「これは面白い!」と感じたシーンが、戯曲ではさっと読み流してしまうところが幾つかあったし、この何気ない台詞をあの役者さんはああ演じたのか、と気づかされたところ、感心させれられたことも多い。

肩ひじ張ることなく、リラックスした気分で読める。ゴールデンウイークの旅行先で読むのにお勧めである。
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする