その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

上岡敏之 指揮、新日本フィル/マーラー交響曲第2番「復活」 @サントリーホール

2019-04-01 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

上岡敏之さんと新日本フィルのコンビが、大好きなマーラー交響曲第2番をやるということで1回券を購入して出陣。この曲、何度か生で聴いてきたが、日本ではNHKホールでしか聴いたことが無く、今回はサントリーホールというのも楽しみの一つだった。

終わってみると、非常にユニークな解釈・演奏で終演後のTwitterも賛否両論に分かれるものだったけど、確かに今までに聞いたことのない類の演奏だった。ただ、個人的には乗り切りれず、<復活>に期待する圧倒的な感動には残念ながら至らなかった。

例えば、ペースが掴みにくいというか、よく変わる。第一楽章はゆっくり目で始まったと感じたが、全楽章通じてところどころで普段聞かないような緩急がつけられる(楽譜が読めない私の経験則からだけの印象です)。そして、最終楽章のクライマックスではぐーっとテンポが上がって、エンド。この変幻自在の変化についていけず、自分が演奏に投入できなかった。個々のパーツ、パーツではとっても美しかったり、ハッと感じるところがあったものの、<復活>全体としてのドラマが感じられず、切り張り感を感じてしまったのも、テンポの変化についていけなかったためかもしれない。

 また、今回はかなり弱音を重視した演奏になっており、ティンパニー等の強音との対比は特徴的だなあと思ったが、2階席最深部の私までは弱音のニュアンスが十分に届かなかった。これは、単なる座席の問題だと思うが、称賛の声はその弱音のすばらしさを上げる声が多かったので、少々残念。

 演奏自体はとっても熱演であったことは間違いないのだが、ところどころ「うむ?」と思わせるところもあり(普段、この曲は小さい傷は全体の熱量の中では気にならないケースが多いのだが)、演奏に完全投入できなかった一因となっていた。(更に、これはオケとは全く無関係だが、最悪は聴衆席からアラームの音が大事なところで鳴っていたのは、怒りどころかとってもがっかり)

一番感動したのは、第四楽章におけるゲーリングのメゾ・ソプラノの独唱。澄み切った美しい声がホール全体に響き、涙がこぼれそうになり、前のめりで聴いた。この声をこのホールで聴けただけでも、来てよかったと心底思った。

以上のような事情で、普段はこの曲を聴いた後は高揚感と陶酔感に浸ってふらふら帰るのだが、今回はそこまでは到達せず。ミックスした微妙な気分でホールを後にした。ちょうど、この日の花曇りの天気のようだなあと思いながら・・・。

2019.03.30 SAT 14:00~
#602 ジェイド<サントリーホール・シリーズ>

指揮
上岡 敏之 Toshiyuki Kamioka
ソプラノ:森谷 真理 Mari Moriya, soprano,
メゾ・ソプラノ:カトリン・ゲーリングKathrin Göring, mezzo-soprano,
栗友会合唱団 Ritsuyukai Choir, chorus,

マーラー:交響曲第2番 ハ短調「復活」
Mahler: Symphony No. 2 in C minor, “Resurrection”

〈なんとなくブラブラ四谷まで歩いた〉

 

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