その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

N響12月A定期/指揮 鈴木優人/メンデルスゾーン 交響曲 第5番 「宗教改革」ほか

2019-12-03 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

オルガン奏者としてのN響との共演はあるものの、指揮者として定期演奏会への登壇は初めての鈴木優人氏。調布音楽祭やBCJで、毎年接しているので個人的にもとっても親近感がある。是非、N響の指揮デビューを成功で飾ってほしいと応援の気持ちで席に着いた。 

結果は大成功だったと言える素晴らしい演奏会だった。特に後半の2曲は、2曲とも初めて聴く曲だが、出色の出来立ったと思った。コレッリの「クリスマス協奏曲」はN響のアンサンブルの美しさがお涙もの。この曲にはNHKホールは大きすぎる気はするが、3階席の私にもバロック調の暖かい音色がダイレクトに響いてきた。

ラストのメンデルスゾーン交響曲第5番「宗教改革」は初めて聴くはずだが、聴いたことのあるような気もするメロディも節々であって、不思議な気分だった。室内楽のような暖かさと教会的な崇高な響きの双方が楽しめる音楽である。優人氏の棒の元、N響の奏でる音色は重層的で、時として優しく、時に荘厳だ。「いい音楽を聴かせてもらっているなあ」としみじみ思う。

終演後の拍手も大きく、暖かいものだった。調布音楽祭の時よりは緊張感が感じられた優人氏も、終演後はやり遂げた満足感と安心感が入り混じった表情に見えた。

前半は、スペクタクル・オペラのようなブロッホのヘブライ狂詩曲「ソロモン」におけるチェロ独奏ニコラ・アルトシュテットの力強い演奏が印象的だった。

演奏家、指揮者、プロデューサー等様々な顔を持つ優人氏。是非、クラシック界の大谷翔平を目指してほしい。

 

12/1  (日) 3:00pm

指揮/チェンバロ│鈴木優人
チェロ│ニコラ・アルトシュテット
コンサートマスター(客演)│ヴェスコ・エシュケナージ

メシアン 忘れられたささげもの[11′]
ブロッホ ヘブライ狂詩曲「ソロモン」*20′]
コレッリ( 鈴木優人編) 合奏協奏曲 8 ト短調 「クリスマス協奏曲」 13′]
メンデルスゾーン 交響曲 5 ニ短調 作品107 「宗教改革」( 初稿/1830 28′]

December 1(Sun) 3:00pm
conductor/ harpsichordMasato Suzuki
celloNicolas Altstaedt
concertmaster (guest)Vesko Eschkenazy 

Olivier Messiaen Les offrandes oubliées [11´]
Ernest Bloch “Schelomo,” hebraic rhapsody* [ 20´]
Arcangelo Corelli/ Masato Suzuki Concerto grosso No. 8 G Minor Fatto per la notte di Natale [ 13´]
Felix Mendelssohn Bartholdy Symphony No. 5 D Minor Op. 107 “Reformation” (First Version/ 1830) [ 28´] 

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