その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

映画 「すべての政府は嘘をつく」(監督:フレッド・ピーボディ、2016)

2020-06-21 07:30:00 | 映画

アマゾンから視聴履歴に基づいて勧められるままに観たドキュメンタリー映画。

「世の中変わったよな」と心底思うのは、このタイトルを20年前に目にしたら「どんなスクープ映画なのだろう」と興味津々に引き込まれたかもしれないが、今接すると「そんなの当たり前でしょ。何をいまさら」と思ってしまうことだ。政治の劣化は、日本をはじめとして今や全世界現象だと思う。

本作品は、アメリカの独立系ジャーナリストであったI・F・ストーンの功績を回顧するとともに、現代の独立系メディアの動きを紹介するドキュメンタリー映画。いかにアメリカ政府や大資本メディアが嘘をつき、真実を語らないできたかの具体的事例として、ベトナム戦争の本格介入のきっかけとなったトンキン湾事件、ニクソン大統領の辞任の切り札となったウォーターゲート事件、イラク戦争、大統領選挙における候補者の言動、メキシコ人移民の大量死などが取り上げられる。

今の世の中、これらの映像を見て今更驚くことはない。アメリカの状況は殆ど日本にも当てはまるし、今回のコロナへの対応を見ても、事実と意見と推測と政策がごちゃまぜになって、本当に何が起こっているのかは絶妙に隠されている(もっともコロナの場合は、政府も事実をつかみ切れてないようなところもあったが)。

I・F・ストーンという独立系凄腕ジャーナリストがいたことや、国境を越えてやってくる多くのメキシコ人移民者が途中で息絶えてしまうというような事実を除いては、個人的にはあまり新しい情報は無かったが、米国現代史の振り返りに良い。我々、一般ピープルはどうしたら騙されずに済むのか、それが一番気になった。

 

監督:フレッド・ピーボディ
製作:ピーター・レイモント アンドリュー・マンガー スティーブ・オード
製作総指揮:ピーター・レイモント オリバー・ストーン ジェフ・コーエン スティーブ・オード

出演:
ノーム・チョムスキー
マイケル・ムーア
エイミー・グッドマン
カール・バーンスタイン


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