日本史の教科書には必ず載っている空也上人立像が六波羅蜜寺からやって来た。実物を拝したことがないので、これは行かねばということで東京国立博物館へ。
展示物が限られているためか、特別展で使うことの多い平成館ではなく本館1階の特別室を使った展示となっている。
初めてのご対面の空也上人。当たり前だが教科書通り。ただ教科書ではわからない、そのリアルさに息をのむ。1mほどの背丈に縮小されているものの、前かがみに念仏を唱える上人様は、今にも足を前に一歩踏み出すんではないかと感じるほどである。全身から念仏を広めよんとする本人の使命感が吹き出している。なんというオーラ。そして「南無阿弥陀仏」の一音一音が口から出る阿弥陀仏になっているが、まさに呟くような念仏の音が聞こえてくる。純粋で神聖なお姿を前に数分間立ち尽くしてしまった。
空也上人立像以外にも六波羅蜜寺のお宝が展示されているが、私には会場に入ったところに立つ地蔵菩薩立像(重要文化財)にも大いに魅かれた。目を閉じたまま何かを思うように直立するお姿は、なんとも穏やかで人の心を落ち着かせてくれる。見ているだけで心の安寧が訪れる。左手に、髪の毛の束を持っていらっしゃるのだが、これはどういう意味合いなのだろう。
これら以外にも薬師如来坐像、四天王立像、伝平清盛増なども見ごたえあり、重要文化財のオンパレードだ。全部で16点ほどの展示物だが、逆にこのぐらいの方が焦らず、ゆっくり、じっくりと鑑賞できる。本館11室にも六波羅蜜寺の弘法大師像(重要文化財)などの彫刻が展示されているのでお見逃しなく。
5月8日までなので、まだの方はゴールデンウイーク中に是非。