ゴールデンウイークの読書。ページをめくる手が止まらず、最後のページが終わった時は、張り詰めた気持ちから解放され、ため息が出る一冊だった。
中日ドラゴンズの監督として、2004-2011の8シーズンの間、リーグ優勝4度、日本一1回を遂げた落合博光を追いかけたドキュメントである。多くを語らない監督だっただけに、番記者として密着した著者の取材記録と選手たちの視線を中心に、落合の流儀に迫る。落合監督の個性、プロ野球というプロフェッショナルの世界、筆者の筆力が相まって、緊張感あふれる内容だ。
読んでいて、私がビジネスの基本として学んで、実践してきたリーダーシップと全く逆ともいえるやり方を取り、かつ結果を出していて、頭を殴られるような衝撃だった。チーム・コミュニケーション、エンパワーメント、コーチング、論理と感情のバランス、アカウンタビリティ、信頼関係構築、中長期的人材育成・・・。落合の流儀は、ビジネス上のリーダーシップや人材マネジメントの枠組みなんぞ糞くらえと言っているかのようである。プロフェッショナルとは?、チーム力とは?、結果(成果)を残すリーダーとは?などなど、改めて自問を迫られ、自分がこれまで持ってきた「あるべき論」が大きく傾いた。
もちろん落合だから・・・というところも多分にあるだろう。自分にはやろうと思ってもできないことも間違いない。ただ、本書を通じ、自分の既成概念が揺らぎ、新たな世界を垣間見ることができた。これぞ読書の醍醐味だった。
〈目次〉
プロローグ 始まりの朝
第1章 川崎憲次郎/スポットライト
第2章 森野将彦/奪うか、奪われるか
第3章 福留孝介/二つの涙
第4章 宇野勝/ロマンか勝利か
第5章 岡本真也/味方なき決断
第6章 中田宗男/時代の逆風
第7章 吉見一起/エースの条件
第8章 和田一浩/逃げ場のない地獄
第9章 小林正人/「2」というカード
第10章 井手峻/グラウンド外の戦い
第11章 トニ・ブランコ/真の渇望
第12章 荒木雅博/内面に生まれたもの
エピローグ 清冽な青