その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

良心的なリーダー心得帳だが私は苦手: 丹羽宇一郎「社長ってなんだ!」講談社新書、2019

2022-05-30 07:30:23 | 

当ブログの読書カテゴリーで前回紹介したサイボウズ青野社長の本と一緒に、地元図書館の返却本棚に並んでいたので借りてみた。伊藤忠商事の社長を務め中国の大使も歴任した日本の経済界の重鎮が、自身の経験をベースに経営者、リーダーとしての心得や行動について述べた一冊だ。

書いてあることは極めて正論。

・私心や私欲を捨てる
・社員との信頼関係が一番大事で、それは情報共有が第一歩。そのために全社員集会や週1回の幹部との顔あわせの情報交換の場が必要
・何事も一流に触れる。
・現場に行って目と耳で確認する
・ゴマ不感症(ゴマ擦りに鈍感になること)に気を付ける

などなど。まあ、仰る通りですね。ということになる。

同じ社長でも、先に読んだサイボウズとこの伊藤忠商事では全然違うだなあと。自分で0から作りあげるベンチャー企業、型や仕組みが出来上がっている日本有数の名門企業。主張に異論は全くないが、読み物としてどちらが面白いか、ワクワクするかと言えば、青野さんの経験談に軍配が上がる。

内容的には勉強になる話も幾つかあるし、至って良心的なのだが、どうしても元・大企業サラリーマン社長の「私の履歴書」っぽさもあり、ちょっと私は苦手なタイプの一冊だった。

 

 

〈目次〉

  • はじめに――リーダー不信の時代に問う
  • 第1章 孤独と覚悟――攻めと守りを同時に行う
  • 第2章 資質と能力――畏れを知るべし
  • 第3章 報酬と使命――社長で稼ごうとは思わない
  • 第4章 自戒と犠牲――ビジネスは義理人情で動く
  • 第5章 信頼と統治――人のつながりが不祥事を防ぐ
  • 第6章 後継と責任――「社員の喜び」こそがリーダーの感激
  • おわりに――社長の器以上に会社は大きくならない

 

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