その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

10年先行ってた働き方改革: 青野慶久『チームのことだけ考えた』ダイヤモンド、2015

2022-05-27 07:59:02 | 

図書館の返却本コーナーに置いてあったので借りてみたのだが、とっても示唆に富む本であった。
著者であるサイボウズの青野社長はメディアでも「働き方改革」の旗手としてしばしば取り上げられているし、サイボウズは数年前の「働き方改革」ばやりの時に、社員の本音をズバリと言い当てたコピーの広告が鮮明に記憶に残っている。

本書は、サイボウズ社の起業から事業を軌道に乗せるまで、経営者としての組織、人事の仕組み作りの考アされてえ方が経験談と一緒に記されている。巷のビジネス・ノウハウ本と異なって、この手の経験談が面白いのは、その時々の課題感や悩みを踏まえて、どういうアクションを取ったかというが、リアリティをもって記述されることだ。もちろん一介のサラリーマンとしての私と、創業者・経営者としての筆者の環境や責任は大いに異なるものの、課題感は相似形であったりする。

コロナ禍をきっかけに、日系企業においても在宅勤務など柔軟で多様な働き方が広まって来たが、同社はそれをコロナ禍以前に実践している。世の中を10年近く先取りしているところが驚きなのだが、本書を読めば、それが会社のミッションや業績向上と社員の幸福の両立をロジカルな思考で考え、実践した結果として生まれたことが良くわかる。

要約してしまうと、単なるノウハウになってしまって面白くないのだが、私にとってのいくつかの学びは、
・組織作りにおけるぶれないミッション・目的の重要性。そしてそれを言葉に表し、言葉の定義をしっかり定めて理解を共有すること
・原因と課題は「行動」。例えば、売上減の原因は、不景気ではなくて、「不景気に対して施策を打たなかったから」。
・制度・施策は目的が大事。目的に沿わない状態になったら、さっさと止める。

タイトルにあるように、筆者の思考の焦点は「チーム」にある。
「共通の理想が存在するところにチームは生まれる。そして、顧客ですらチームのメンバーとなりうる。(中略)チームとは、ビジョンに共感するメンバーがタスクを実行する(=ワークする)集団だ

図書館に本を返却と同時に、アマゾンでぽちった。

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