その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ルイージ/N響 シェーンベルク/交響詩「ペレアスとメリザンド」ほか

2024-12-02 07:29:44 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

今日はワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」の「前奏曲と愛の死」とシェーンベルクの「ペレアスとメリザンド」にR.シュトラウスの歌曲が挿まれるという後期ロマン派を集めた垂涎のプログラム。今週は「ウイリアム・テル」に「サイモン・ラトル/バイエルン放送響」があって、フルコースでもうお腹一杯のところに、更に大好物のとんかつ定食が出てきたような感覚です。

冒頭のワーグナー/楽劇「トリスタンとイゾルデ」─「前奏曲と愛の死」はN響らしい精緻で整ったアンサンブルが、この曲の緊張感や危うい雰囲気を余すことなく表現していました。早くこのコンビでオペラやってほしいです。

続いてはR. シュトラウスの愛を歌った短めの歌曲が5作品。クリスティアーネ・カルクさんは初めて聴く方です。清らかで透明感あふれるソプラノはとっても落ち着いていて優しい。声量で圧倒するようなところは微塵も無いですが、自然に会場隅々まで届いていきました。きっと、これらがドイツのリートの美しさの真髄なのだろうと、勝手に感じた次第。

休憩後は、先月20日にサントリーホールで小泉/都響の公演で聴いたばかりのシェーンベルクの「ペレアスとメリザンド」。ルイージさんの運びは、とっても劇的でオペラの場面が走馬灯のようにまぶたに浮かびます。N響も個々のソロから合奏まで、ルイージさんのタクトにしっかりと応えていて、素晴らしいパフォーマンスでした。この11,12月の最大と言っても良い収穫は2回も生で聴きたかったこの曲が聴けたこと。ますますこの曲が好きになって、感謝です。

ちょっと残念だったのはホールの響きかな。多くの方がXでポストしていましたが、確かにN響はこのホールの音の出し方を心得ていて、非常に音が良く飛んできました。ただ、それでも、この「ペレアスとメリザンド」の幻想的で官能的な世界観はサントリーホールのような残響豊かなホールの方が良く表れる気がしました。

今月はCプロは都合で行けないので、次回のBプロが今年最後のルイージさんの演奏会。沈みかかった西日が代々木公園の木々を黄金色に照らす中、年の瀬を感じながらホールを後にしました。

 

定期公演 2024-2025シーズンAプログラム
第2025回 定期公演 Aプログラム
2024年12月1日(日) 開演 2:00pm [ 開場 1:00pm ]

NHKホール

曲目
― シェーンベルク生誕150年 ―
ワーグナー/楽劇「トリスタンとイゾルデ」─「前奏曲と愛の死」
R. シュトラウス/「ばらの花輪」作品36-1*、「なつかしいおもかげ」作品48-1*、「森の喜び」作品49-1*、「心安らかに」作品39-4*、「あすの朝」作品27-4*
シェーンベルク/交響詩「ペレアスとメリザンド」作品5

指揮:ファビオ・ルイージ
ソプラノ:クリスティアーネ・カルク*

【開演前の代々木公園】

Subscription Concerts 2024-2025Program A
No. 2025 Subscription (Program A)
- The 150th Anniversary of Arnold Schönberg’s Birth -

Sunday, December 1, 2024 2:00pm [ Doors Open 1:00pm ]
NHK Hall

Wagner / Tristan und Isolde (Tristan and Isolde)—Prelude and Liebestod
R.Strauss / Das Rosenband Op. 36-1 (The Rose Chain)*, Freundliche Vision Op. 48-1 (A Welcome Vision)*, Waldseligkeit Op. 49-1 (Bliss in the Woods)*, Befreit Op. 39-4 (Released)*, Morgen Op. 27-4 (Tomorrow)*
Schönberg / Pelleas und Melisande Op. 5 (Pelléas and Mélisande)

Conductor: Fabio Luisi
Soprano*: Christiane Karg

コメント
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