本屋に行けば(最近はAmazonで検索すればかな)、図解付きで簡易にITについて解説した本は簡単に沢山見つかるが、本書はそれらの類の本とは一線を画していると思った。
左ページにチャート(いわゆる図、絵)があり、その解説が右ページに文章として掲載されるという形式は珍しくない。しかし本書は、個々の技術(AI、クラウド、IOTとか)が技術的に解説されるというよりは、その技術の歴史を(簡単に)紐解き、なぜ今、この技術なのか、そしてその世の中的なインパクトは何なのか、そして将来はどうなるのかまでが書いてある。入門書と言えば入門書なのだが、技術について点でなく線で解説したこの入門書は思いのほか奥が深い。
技術書と思って読むと(まあパラパラめくればすぐわかるのでそんな人はいないだろうが)がっかりすることは間違いないが、新聞、ネットでいろんなIT用語が濫発している中、「ちょっとこんなこと、今更聞けないよな~」と思っているビジネスパーソン(特にオジサン系)やどうも「別にエンジニアになるつもりはないけど、このぐらいわかってないとね」レベルには達したいと思っている文科系の人(営業とか、企画系の人)には超お勧めだ。平易に書いてあるので、すーっと読んでしまうが、私的にはこの本はじっくり読んだほうが身につくと思う。
難は本書のカラー刷り。黒と薄緑の二色刷りなのだが、薄緑の色合いが、毎年視力が悪化する私には、ホント読みづらい。なんでこんな色刷りにしたのか不思議なぐらい。グリーンということで、筆者の「環境主義者」アピールなのかなとも勘繰るが、これほどリーダーフレンドリーでない色刷りははじめてと言っておきたい。
でも、内容はお勧めです。
目次
第0章 ITの最新トレンド ~世の中の常識を大きく変えようとしている現実と未来を概観する
第1章 IoT ~現実世界をデータで捉え、現実世界とITが一体となった社会を実現する
第2章 人工知能とロボット ~人間にしかできなかったことを機械に置き換え、人間にはできなかったことを実現する
第3章 クラウドコンピューティング ~コンピュータの使い方の常識を根本的に変え、適用範囲を拡大する
第4章 モバイルとウェアラブル ~人間とコンピュータの関係を一変させ、新たなビジネスの可能性を拓く
第5章 ITインフラストラクチャと仮想化 ~あらゆるハードウェアをソフトウェアで構築・運用・管理する
第6章 開発と運用 ~ビジネススピードの加速に対応し、ビジネスの成果に貢献する
付録 最新トレンドを理解するためのITの基礎知識