先日読んだ『深読みシェイクスピア』の勢いで、それよりも先に発刊されていた(増補前(決定版になる前)の初版本は1999年発刊)本書を手に取った。
シェイクスピアの翻訳で著名な松岡和子さんとこれまた著名な心理学者河合隼雄氏(故人)のシェイクスピア作品を巡る対談である。松岡さんが翻訳・文学の立場から、河合さんが心理学の立場から作品を読み解き、相互の見立ての交錯が作品の理解度を更に深めるという仕立てになっている。
シェイクスピアの作品はどれも人間の内面に深く切り込んだ作品であるがゆえに、河合さんの心理学的切り込みは文学とは異なった角度で興味深い。とりわけ「ハムレット」における分裂気質、「リチャード三世」における悪や呪い、「真夏の世の夢」における夢・(無)意識・森など、戯曲を読んだり、舞台を見ているだけでは、読み過ごし、見過ごしてしまう角度や部分に光を当てて、「なるほど、そうなのか・・・」と気づかせてくれる。
最近、結構真面目に、定年後は文学部で学び始めるのも面白いかもと思い始めている。
【目次】
ロミオとジュリエット
間違いの喜劇
夏の夜の夢
十二夜
ハムレット
リチャード三世
増補 リア王
マクベス
ウィンザーの陽気な女房たち
お気に召すまま)
決定版増補 (タイタス・アンドロニカス)