思えば私にもささやかなジャイアントキリング、というか番狂わせ経験がある。
ひとつは中学1年の時だ。
私たちのクラス担任は若い体育教師で、その個性的な言動によって、ほかのベテラン教師からはやや疎んじられていた。
坊主憎けりゃ袈裟まで、ではないが、私たちのクラスに対しても、ほかのクラスと比べて対応が辛いように思われた。
まあ、担任の影響か、何人かは調子に乗った連中もいたので、それもさもありなんか。
秋に恒例の校内合唱コンクールというのがあった。
学年ごとにクラス対抗で競い合うのだ。
審査は対象学年を除く学年の全員による投票で、1年生のクラスは2、3年生全員が投票する。
1年生クラスの本命は音楽教師が担任の2組、対抗が英語教師担任の5組で、私たち3組はいわば大穴だった。
私たちが選んだ曲は教科書に載っていた『大きな古時計』だった。
2組は曲名は忘れたが、これも教科書からクラシックの曲だった。
投票の結果、私たち3組が大差の1位で、2組は2位だった。
自分たちにしても、まさかの結果で、どこがよかったのかわからない。
たぶん、わかりやすい歌詞と、くじ引きによる出番が最後というのがよかったのかもしれない。
二つ目は、高校3年の時の体育祭のクラブ対抗リレーだ。
陸上部を除く体育会系と文化会系に分かれて予選を行い、それぞれの上位3チームが決勝戦でぶつかり合うのだ。
当然、体育会系の勝ち上がりの野球部とバレー部が本命対抗で、私がアンカーを務めるギター同好会はブービー人気だ。
結果は、スタートからトップに立ったギター同好会が、そのままトップを守り逃げ切り勝ち。
種を明かせば、中学時代、陸上部や野球部で鳴らした1、2年生が、高校の体育会クラブを敬遠して、ギター同好会に入会していたのだ。
まわりはもちろん、自分たち自身も予想だにしなかった勝利は、まさに格別なものだ。
森保ジャパンの凄さもそうだが、メンバーの喜びは我々の想像以上に違いない。
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