高校、大学、そして会社にもビートルズ同好の士はいた。
酒席で、ビートルズ談議に花を咲かせたこともたびたびだ。
勤めていた会社の徒歩圏内、ラブホや怪しい飲み屋が乱立する一角に、大阪キャヴァーン・クラブ、略してキャバクラはあった。
ちなみに、俗に言うキャバクラができたのは、もっとあとだ。
キャヴァーン・クラブの名称だけでは、ビートルズ専門のライブハウスとピンと来ない人間も多かったと思う。
コアなビートルズ・ファンにはお馴染みだけど、若いビートルズ・ファンには、ロンリー・ハーツ・クラブのほうが、通りがよかったかもしれない。
そのキャヴァーン・クラブ、気が向けば、気の置けない連中と二次会でよく利用したものだ。
入り口横にはユニオン・ジャックがはためき、店内にはリッケンバッカーやバイオリンベース、LPジャケットやポートレートが飾られていた。
ライブハウスは数あれど、ビートルズという単一のバンドに特化したものは他に類を見なかった。
それができるところにも、ビートルズの偉大さというのがわかる。
客の年齢層も他のライブハウスよりも明らかに高かった。
何組かいたコピーバンドの腕前は、本物には及ばないものの、ほろ酔いの観客を楽しませるには十分だった。
たぶん、ビートルズも本家キャヴァーン・クラブでは、きっとそうだったに違いない。
本物のビートルズの生演奏を聴けない以上、コピーバンドで楽しむしかない。
店と専属契約をしているくらいだったから、その演奏はそこそこ安心して聴けた。
ビートルズナンバーは、ハードロックと違い、アドリブもほとんどなく、コンパクトにまとまっているので、アマチュア・バンドには持って来いのコピー曲ぞろいだ。
ほとんどの曲は聴き慣れているので、聴くほうにとっても堪能できる。
各テーブルにリクエストカードが常備され、誕生日の客には『バースデイ』を演奏してくれた。
私たちは批評やトリビア談議は抜きにして、演奏に身を委ね大いに楽しんだものだ。
たまに常連客が、ストーンズのナンバーをリクエストするのがお約束だった。
もちろん、そこまでのリクエストには応じなかったけど、できたら、素知らぬ顔で、曲の出だしの部分だけでも、やってほしかったな。
家でビートルズをレコードで聴くと、ノスタルジックな気分になるが、キャヴァーン・クラブのライブでは、その臨場感に酔いしれたものだ。
東京出張の折には、六本木のキャヴァーン・クラブもたびたび訪れた。
そのキャヴァーン・クラブも、残念ながら東西ともに閉店してしまった。
閉店の報に接した時には、ビートルズ解散の時のような、一抹の寂しさが去来したものだ。
長らく、大阪キャヴァーン・クラブの跡地は、兵どもが夢の跡状態だった。
それを見るにつけ、一陣の風の中に『イン・マイ・ライフ』の一節が浮かんできた。
酒席で、ビートルズ談議に花を咲かせたこともたびたびだ。
勤めていた会社の徒歩圏内、ラブホや怪しい飲み屋が乱立する一角に、大阪キャヴァーン・クラブ、略してキャバクラはあった。
ちなみに、俗に言うキャバクラができたのは、もっとあとだ。
キャヴァーン・クラブの名称だけでは、ビートルズ専門のライブハウスとピンと来ない人間も多かったと思う。
コアなビートルズ・ファンにはお馴染みだけど、若いビートルズ・ファンには、ロンリー・ハーツ・クラブのほうが、通りがよかったかもしれない。
そのキャヴァーン・クラブ、気が向けば、気の置けない連中と二次会でよく利用したものだ。
入り口横にはユニオン・ジャックがはためき、店内にはリッケンバッカーやバイオリンベース、LPジャケットやポートレートが飾られていた。
ライブハウスは数あれど、ビートルズという単一のバンドに特化したものは他に類を見なかった。
それができるところにも、ビートルズの偉大さというのがわかる。
客の年齢層も他のライブハウスよりも明らかに高かった。
何組かいたコピーバンドの腕前は、本物には及ばないものの、ほろ酔いの観客を楽しませるには十分だった。
たぶん、ビートルズも本家キャヴァーン・クラブでは、きっとそうだったに違いない。
本物のビートルズの生演奏を聴けない以上、コピーバンドで楽しむしかない。
店と専属契約をしているくらいだったから、その演奏はそこそこ安心して聴けた。
ビートルズナンバーは、ハードロックと違い、アドリブもほとんどなく、コンパクトにまとまっているので、アマチュア・バンドには持って来いのコピー曲ぞろいだ。
ほとんどの曲は聴き慣れているので、聴くほうにとっても堪能できる。
各テーブルにリクエストカードが常備され、誕生日の客には『バースデイ』を演奏してくれた。
私たちは批評やトリビア談議は抜きにして、演奏に身を委ね大いに楽しんだものだ。
たまに常連客が、ストーンズのナンバーをリクエストするのがお約束だった。
もちろん、そこまでのリクエストには応じなかったけど、できたら、素知らぬ顔で、曲の出だしの部分だけでも、やってほしかったな。
家でビートルズをレコードで聴くと、ノスタルジックな気分になるが、キャヴァーン・クラブのライブでは、その臨場感に酔いしれたものだ。
東京出張の折には、六本木のキャヴァーン・クラブもたびたび訪れた。
そのキャヴァーン・クラブも、残念ながら東西ともに閉店してしまった。
閉店の報に接した時には、ビートルズ解散の時のような、一抹の寂しさが去来したものだ。
長らく、大阪キャヴァーン・クラブの跡地は、兵どもが夢の跡状態だった。
それを見るにつけ、一陣の風の中に『イン・マイ・ライフ』の一節が浮かんできた。
ビートルズのジョージ、ストーンズのキース。どちらもヘタウマギタリストだ。キースに至っては、歳をとってその素人顔負けのヘタさに、磨きがかかってきた気もする。でも、そのサウンドには、他のギタリストには出せない独特な味わいがあるんだよね。 そんな味わいの小説を、Amazon Kindle Storeに30数冊アップしています。★★ 拙著電子書籍ラインナップ・ここから、またはプロフィールのQRコードから買えます。
読後のカスタマーレビューをいただけたら幸いです。