産経新聞より。
2025年大阪・関西万博の開催決定を受け、会場整備が本格化する大阪湾の人工島、夢洲(ゆめしま、大阪市此花区)。長らく「負の遺産」だったこの地に、万博開催後、自動車レースの国際大会を誘致する構想を大阪市の吉村洋文市長がぶち上げた。万博を機に生まれ変わる夢洲を、世界から人が集まるエリアにするのが狙いだが、果たして-。
■構想に賛否
「F1のモナコ・グランプリのような大会を誘致し、世界屈指のエンターテインメントエリアにしたい」。発端は、13日付の産経新聞に掲載された吉村氏の単独インタビューにある、この発言だ。
万博後の夢洲の将来像として、24年開業を目指す統合型リゾート施設(IR)の誘致を念頭にしたもので、吉村氏はツイッターにも「夢物語だとは思わない。モナコ、シンガポールができるなら大阪もできる」と投稿。「夢洲は人が住まない非日常の人工島。公道の形状、配置もこれから本格設計。やろうじゃないか」と決意を示した。
この提案に、インターネットではF1ファンをはじめ多くの人々が反応。「まさに夢の島に『夢』を載せる話。ぜひ実現してほしい」という声や、「思いつきはよくない。税金の無駄遣いにならないか心配」など賛否両論が上がった。
■開催料、道路整備…
実際、夢洲での公道レースは可能なのか。
「市街地から離れ、人が住んでいない夢洲の立地環境はレース開催に問題はない」。こう話すのは、長年、F1などのモータースポーツを取材してきたジャーナリスト、尾張正博氏(54)だ。
一般的に、公道でレースなどのイベントを開くには警察署に使用許可を申請する必要があり、署長が安全性や公益性などを考慮して可否を判断する。国内では過去に複数の公道レースが計画されたが、警察の許可が下りず、実現しなかったケースも。だが、都心から離れた夢洲での開催は騒音や交通網への影響を含め、こうした点をクリアできる可能性があるという。
一方、F1には1つの国で開催するレースは1カ所という「1国1開催」の原則がある。日本では長らく鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で開催されており、ファンからは「鈴鹿からF1が無くなることは望まない」との意見も出ている。
ただ、尾張氏によれば、開催料さえ支払えば1国で複数の開催も可能で、近年は「一国複数開催」の機運も生まれつつあるという。
■立ちはだかる経費
ネックは、その開催料だ。夢洲が目指す市街地コースでF1を開催するシンガポールは「毎年約50億円の開催権料を支払っている」と尾張氏。開催権料に見合うよう、世界の著名なF1開催地には大型のIRが隣接し、セットで来場客を呼び込む“仕掛け”をつくっているのが一般的。夢洲での実現は、IRの開業が絶対条件といえそうだ。
加えて、公道レースとなればメンテナンス費用も膨れあがる。鈴鹿サーキットの担当者によると、高速の車が疾走するサーキットの路面は、水たまりができるのを防ぐ処理など、スリップしにくい特殊な舗装になっており、劣化に伴う維持管理にも費用がかかる。担当者は「鈴鹿では10年に1回程度、舗装を張り替えているが、公道はより頻繁に張り替える必要があるのではないか」と指摘する。
■最有力は電気自動車?
こうした中、専門家やF1ファンの間で実現可能性が高いとして注目されているのが電気自動車の世界選手権「フォーミュラE」の誘致だ。ガソリン燃料で走るF1と異なり、騒音が少なく地球環境に優しい-などのメリットがあるほか、開催権料もF1より低額で済む。大阪は電気自動車事業に乗り出したパナソニックのおひざ元でもある。
尾張氏は「(フォーミュラEは)安い開催費用で効率的なシティーセールスができる」と指摘。その上で「吉村氏のアイデア自体はとても面白い。実現に向けて応援したい」と話す。
万博の「レガシー」(遺産)活用法には、今後も注目が集まりそうだ。<了>
いろんな課題があるのは明らかだが、夢のある話ではある。現実的には記事にもあるようにフォーミュラEがベターではないか。新時代のスポーツを活用したシティプロモーションとしてはF1より優れたコンテンツだと思う。
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