「ねえねえ、面白そうな企画を見つけたんだけど…」
「なに?」
「大台ヶ原ご来光ツアー!」なんて…とてもいえない。
「素敵なカフェ見つけたの。今度一緒に行かない?」とは訳が違う。
誘えない…かといって、一人で山に登るわけにはいかない。ツアーなら…
思いきって一人参加を申し込んだ。
案の定、まわりはご年配の方々ばかり。当時26歳、最年少参加間違いなしの状況。
一人、黙々と歩く私の耳に、小鳥の声と川のせせらぎ、ご婦人方の慶弔報告会話が飛び込んでくる。
突如、ニホンジカ現る。
おばちゃん「まあ~奈良公園の鹿よりずっと気品があるわ~」
私、心の声「ほんとですね。鳴き声もとっても可愛いい!」
さらに一行、散歩道を突き進む。
おばちゃん「わあ~これ見て、これ。見事な苔!」
私の心「コケ?」
おばちゃん達「苔、育てるの、ほんま難しいのにな~まあ~立派な苔」
私の心「え?わざわざ苔、育てるの?」
なになに、会話の流れから知り合いのお金持ちの方が何度も苔を育てようとして失敗している、らしい。
苔がね~。
普段の生活では会話を交わす機会のないご婦人方に学ぶべきこと多し。
初、山の家でのどきどきの一泊、早朝、待望のご来光に出るも、霧雨。
朝食後、立ち枯れの巨木が目を引く正木ヶ原、牛石ヶ原を越え、晴れ間が見え始めた頃、大絶壁の大蛇へ到達。
おばちゃん達、口々に「よかったね~無事にここまで辿り着けたね~ありがとう」
ご婦人方一斉に感謝の合掌中。私も、それに習う。
ご来光ツアー、ありがたきツアーに成りて、無事修了。
※初めて山に登った時、すれ違う見知らぬ人たちが笑顔で「こんにちは」といってくれるので驚いた。
慣れないことで照れて小さく「こんにちは」と返しながら、素敵だなと思った。
すれ違う時も、笑顔で道を譲り合う…いい空気なのだ。
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