この写真の中で、1番おいしくないのは一番上の小さいヤツだ。
では1番おいしいのは、と言うとこの中で1番大きいヤツでもないのだ。
実はあと10センチほど大きくなった方が断然旨いのだが。でもかなりの人が
これには反論するに違いない。「竹の子は地面から顔を出したら価値がない」
と言って、見つけ出す神業を披露する人がいるくらいだから。
そう、価値がないのは事実だ。安くなってしまうからね。でも味は別のようだ。
大きいのがだめな理由は、硬いとか、えぐくなってしまうから、と言われているか
らだと思う。
だが硬さについては、写真の大きいのでさえ3センチも切り落とせばOKだ。
90歳の総入れ歯の母でさえ、何の不自由もなく食べられる。
えぐさについては、掘ってから24時間は保障する。6時間だとアク抜きする必要
もないぐらいだ。
但しここがキーになる理由だろう。ここからは得意の推測だ。昔は季節を先取り
する為には、四国や和歌山から運んでくるはずだ。
するとサツマ芋サイズでないとアクが強くなってしまう。写真のサイズだと、さす
がに2日も経つとアクが強くなってしまうからね。
では何故そういう評価がなされてしまったのだろうか。
多分、金にいとめを付けない、関西にある何軒もの高級料亭ではないだろうか。
昔から季節の先取りは金になったのだろう。温室がない時代に季節の先取りが
できる物は、あまり無かったのだろうと思われる。
更に当時、高級料亭に通う金持ちは、ほとんど50歳を超えていたのだろう。
歯医者が無い時代だ。柔らかい竹の子ほど高い評価を得られたに違いない。
今だって、もしも歯医者が無かったら、50歳は竹の子やたくあんを食べるのに
つらい世代になっているはずだ。
と言う訳でもっと大きい竹の子を食べてみよう。きっと鮮烈な季節感を味わえる
はずだから。なるべく産直売り場に出向いて、ピカピカの竹の子を手に入れよう。
そして7月になったら、もう一度そこに行ってみよう。今度は、ハチクやマダケの
竹の子にも挑戦してみよう。こっちの方が2割がた旨いと思うよ。