かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

年間百万円が用意できなくて、貴重な資料が海外に流出してしまう我が国って一体……。

2010-10-15 23:12:06 | Weblog
 天気予報では晴が続くハズと思っていたのですが、今日は盛大に雨が降り驚きました。昨日の朝、サボテンに水をやったのも、しばらく晴が続くと見た上での事だったので、こんな予想外の天気になるとちょっと困ります。

 さて、我が国の至宝がイギリスに流出してしまうというニュースを見ました。
 なんでも、考古学分野で最大の学会、日本考古学協会で保管している約五万六千冊の蔵書が、年間約100万円の保管費用が大変で受け入れ先を募集していたところ、国内からは皆無で、唯一、イギリスのセインズベリー日本芸術研究所、というところが応募してきたので、そこに寄贈することに決めたのだそうな。かつて、市川考古博物館というところに保管していたそうですが、その当時で蔵書の利用は年間数人程度。ただ、中には弥生時代研究を大きく進展させた登呂遺跡のものなど貴重な遺跡発掘報告書があり、協会会員からは、この寄贈を「文化資産の損失」と反発する声が上がっているのだそうな。
 私が驚いたのは、わずか年間100万円の保管費用が負担になって学会が積みあげてきた貴重なデータを海外に出さざるをえない、という考古学会の現状です。100万円というのは、段ボール箱に詰めて積み上げている、とある倉庫の賃貸料だそうで、きっちり整理して閲覧できるようにしようと思ったらはるかに多額の費用がかかるとのことですが、これだけ考古学や遺跡発掘に対する国民的関心が高まり、しばしばニュースネタにもなるような時代を迎えているというのに、何故に文化庁や政府はそれくらいの費用を学会に拠出してやらないのでしょうか? 建物だって、例えば地方にはかつて子どもが急増したときに立てた小学校や中学校、高校が要らなくなり、空き家になっているところが結構あります。そういうところにちょっと手を入れてやれば、本くらいいくらでも詰め込めるでしょう。我が奈良県こそ歴史文化研究の先進地として、そんな知恵のひとつも出して、資料の保管先に名乗りをあげるくらいのことはできなかったのでしょうか? 
 一方学会も学会で、一括で蔵書を寄贈する先を探したそうですが、千冊づつ位に小分けして全国に呼びかければ、とか、あるいは、文化庁や文部科学省に掛け合って調査報告書をデジタル化するようなプロジェクトを立ち上げるとか、もう少し知恵を絞って保管方法の検討を本気でやるべきだったのではないか、とも思います。
 いずれにせよ、決めるのは学会の方々ですからこちらは黙って成り行きを見守るよりないわけですが、我が国の中枢も、また我が奈良県なんか特に、歴史文化に対する興味や意識が低すぎる気がいたします。

コメント
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