政治に携わる人の「成果」とはどのようなものでしょう。その人の任期中に、国や自治体で「目に見える形で施設やインフラができること」や「条例をつくること」、「住民サービスが増えること」や「なにか制度ができること」などがすぐに思いつくところではないでしょうか。その他には、住民の方にとって「行政との関係がスムーズになること」や「事業が立ち上げられること」などのようなことも入るのではないかと思います。
けれど、それらは政治に携わる人の任期中だけの視点になっていないでしょうか。政治は、その国や自治体の将来にわたる取り組みだと考えると、視点を現在だけでなく、過去や未来にも向けながら考えたほうが良いのではないかと思います。
例えば「目に見える形で施設やインフラができること」から考えると、財政破綻した自治体があるとして、その要因に過剰な施設やインフラ投資があったとしたらどうでしょう。施設やインフラができた時点では、政治の成果として取り上げられていたかもしれません。しかし、それらによる負担が自治体財政に大きなダメージになってしまったとしたら、ある意味でマイナスの成果として評価されるべきではないかと思います。しかし、そのようなことはあまり言われないのではないでしょうか。
物事を動かすとき、作用があればなんらかの反作用もあるわけで、作用面だけではなくて反作用の分も評価することが、全体像を把握するときに大切なことだと思います。
ただ、残念ながら反作用の部分が見えるときは、数年先であったり、場合によっては関わる方が現場にほとんどいなくなったときであったりして、反作用の責任はその時に当事者になっている人が負う形になってしまったりすることが多いでしょう。であるなら、物事を動かすときには、反作用の部分のリスクもきちんと表に出すことが必要だと思います。その部分が、国であれ自治体であれ、議会であり議員の仕事として大切なところと考えています。
ですが、その部分は仕事の成果と評価されることが少ない、ほとんどないかもしれない領域になってしまっているのではないかと思うことが、非常に残念なところです。
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