シカゴの鉄道の改札で働くルーシー(サンドラ・ブロック)。
そのキャラクター描写はこんな感じ。
★クリスマスの休日出勤を頼まれる。
★クリスマスツリーをひとりで窓から吊り上げている。
★住んでいるアパートのオーナーから息子と結婚しないかと言われる。
これで観客はルーシーがどんな女性かわかる。
すなわち、独身で恋人がいなくてとても寂しい。
こんな描写では彼女の性格がわかる。
毎朝、ルーシーの改札の前を通るエリート弁護士ピーター(ピーター・ギャラガー)。
ルーシーは彼に憧れているが、いつも見てるだけ。
ある日「おはよう」と声をかけられるが、ルーシーはすぐに返せずピーターがはるかかなたの駅のホームに行った時、やっとこう返す。
「素敵なコートね。愛してるわ」
これでルーシーが恋に無器用な女性であることがわかる。
人生が予定どおり進んでいない女性であることがわかる。
実に巧みな描写だ。
そんなルーシーが線路に落ちたピーターを助け、彼が昏睡状態で眠っている中、彼の家族に「ピーターの婚約者」だと勘違いされた所から物語は発展していく。
起承転結でいえば『承』の部分だ。
この『承』の部分では、ルーシーのウソ(婚約者であること)がいつバレるかがサスペンスになる。
ピーターの家族はルーシーのことを大歓迎。
ルーシーはなかなか本当のことを言い出せない。
物語はルーシーが「自分は婚約者ではありません。勘違いです」と言ってしまえば終わりなのだが、彼女がそれを言い出せない理由がしっかりしているから、作品にのめり込める。
ルーシーが本当のことを言えない理由とはこうだ。
ルーシーは眠っているピーターに懺悔する。
「自分はひとりで気ままに暮らしている。猫もいる。リモコンも独占できる。でもいっしょに笑ってくれる人がいない」
ピーターの家族が自分を家族として迎えてくれて、ルーシーは嬉しかったのだ。
いっしょに笑えて、クリスマスを過ごせる人たちが出来て嬉しかったのだ。
だから言い出せなかった。
ウソがバレそうになって取り繕うようなことをした。
このせりふも前半のルーシーの日常の孤独がしっかり描かれているから納得できる。逆に「いっしょに笑ってくれる人がいない」ではせつなくなってしまう。
実に巧みなせりふだ。
巧みなせりふという点では、眠っているピーターの弟ジャック(ビル・プルマン)に関わるうちに彼と恋に落ちていくせりふのやりとりは秀逸だ。
「送ってもらわなくて結構よ」→「誰かといっしょに歩かないと僕が襲われる」
「ついて来なくて大丈夫よ」 →「君は風よけだから」
「何だかお父さんみたい」 →「じゃあお父さんは上品で紳士だったんだろうね」
「今日はよくしゃべるのね」 →「寒いからしゃべってないと口が凍ってしまう」
ああ言えば、こう言う。
ジャックは拒絶するルーシーの言葉を巧みに受け流す。
そしてこういう軽妙なやりとりがふたりの恋を育んでいく。
恋愛映画で「言葉のやりとり」は極めて重要だ。
あるいは小道具も。
ルーシーの夢はイタリアのフィレンツェに行くことだが、彼女のパスポートにはスタンプはひとつも押されていない。仕事のせいもあるが、フィレンツェには愛する人と行きたいのだ。
そこでルーシーを口説こうとするジャックはプレゼントでフィレンツェのドォーモの置物を渡したり、最後にはあるものを渡したりする。
フィレンツェつながりでふたりの恋愛感情の発展を表現していく。
巧みな小道具の使い方だ。
あとはジャックがルーシーにプロポーズするやり方もよかった。
プロポーズは仕事中、ルーシーが改札嬢をやっている時に行われるのだが、そのやり方は実に粋だ。
最後に主人公ルーシーに課せられたかせは次のようになっている。
★憧れの人ピーターに声をかけられない。
★ピーターの家族に本当のことが言えない。
★ピーターが目を覚ました。どうするか?→ルーシーのことを思い出せないピーターは部分的な記憶喪失ということになり、時を経てピーターもルーシーのことが好きになってしまう。本当に婚約してしまう。
★ジャックのことが好きになってしまった。ピーターとの婚約を解消したい。いよいよ結婚式。
そのキャラクター描写はこんな感じ。
★クリスマスの休日出勤を頼まれる。
★クリスマスツリーをひとりで窓から吊り上げている。
★住んでいるアパートのオーナーから息子と結婚しないかと言われる。
これで観客はルーシーがどんな女性かわかる。
すなわち、独身で恋人がいなくてとても寂しい。
こんな描写では彼女の性格がわかる。
毎朝、ルーシーの改札の前を通るエリート弁護士ピーター(ピーター・ギャラガー)。
ルーシーは彼に憧れているが、いつも見てるだけ。
ある日「おはよう」と声をかけられるが、ルーシーはすぐに返せずピーターがはるかかなたの駅のホームに行った時、やっとこう返す。
「素敵なコートね。愛してるわ」
これでルーシーが恋に無器用な女性であることがわかる。
人生が予定どおり進んでいない女性であることがわかる。
実に巧みな描写だ。
そんなルーシーが線路に落ちたピーターを助け、彼が昏睡状態で眠っている中、彼の家族に「ピーターの婚約者」だと勘違いされた所から物語は発展していく。
起承転結でいえば『承』の部分だ。
この『承』の部分では、ルーシーのウソ(婚約者であること)がいつバレるかがサスペンスになる。
ピーターの家族はルーシーのことを大歓迎。
ルーシーはなかなか本当のことを言い出せない。
物語はルーシーが「自分は婚約者ではありません。勘違いです」と言ってしまえば終わりなのだが、彼女がそれを言い出せない理由がしっかりしているから、作品にのめり込める。
ルーシーが本当のことを言えない理由とはこうだ。
ルーシーは眠っているピーターに懺悔する。
「自分はひとりで気ままに暮らしている。猫もいる。リモコンも独占できる。でもいっしょに笑ってくれる人がいない」
ピーターの家族が自分を家族として迎えてくれて、ルーシーは嬉しかったのだ。
いっしょに笑えて、クリスマスを過ごせる人たちが出来て嬉しかったのだ。
だから言い出せなかった。
ウソがバレそうになって取り繕うようなことをした。
このせりふも前半のルーシーの日常の孤独がしっかり描かれているから納得できる。逆に「いっしょに笑ってくれる人がいない」ではせつなくなってしまう。
実に巧みなせりふだ。
巧みなせりふという点では、眠っているピーターの弟ジャック(ビル・プルマン)に関わるうちに彼と恋に落ちていくせりふのやりとりは秀逸だ。
「送ってもらわなくて結構よ」→「誰かといっしょに歩かないと僕が襲われる」
「ついて来なくて大丈夫よ」 →「君は風よけだから」
「何だかお父さんみたい」 →「じゃあお父さんは上品で紳士だったんだろうね」
「今日はよくしゃべるのね」 →「寒いからしゃべってないと口が凍ってしまう」
ああ言えば、こう言う。
ジャックは拒絶するルーシーの言葉を巧みに受け流す。
そしてこういう軽妙なやりとりがふたりの恋を育んでいく。
恋愛映画で「言葉のやりとり」は極めて重要だ。
あるいは小道具も。
ルーシーの夢はイタリアのフィレンツェに行くことだが、彼女のパスポートにはスタンプはひとつも押されていない。仕事のせいもあるが、フィレンツェには愛する人と行きたいのだ。
そこでルーシーを口説こうとするジャックはプレゼントでフィレンツェのドォーモの置物を渡したり、最後にはあるものを渡したりする。
フィレンツェつながりでふたりの恋愛感情の発展を表現していく。
巧みな小道具の使い方だ。
あとはジャックがルーシーにプロポーズするやり方もよかった。
プロポーズは仕事中、ルーシーが改札嬢をやっている時に行われるのだが、そのやり方は実に粋だ。
最後に主人公ルーシーに課せられたかせは次のようになっている。
★憧れの人ピーターに声をかけられない。
★ピーターの家族に本当のことが言えない。
★ピーターが目を覚ました。どうするか?→ルーシーのことを思い出せないピーターは部分的な記憶喪失ということになり、時を経てピーターもルーシーのことが好きになってしまう。本当に婚約してしまう。
★ジャックのことが好きになってしまった。ピーターとの婚約を解消したい。いよいよ結婚式。