平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

隣人13号

2007年08月27日 | コミック・アニメ・特撮
 井上三太の「隣人13号」。
 いじめを受けた復讐の心が凶悪な人格13号を生み出してしまう。
 主人公・村崎十三は、この人格13号の存在に悩み恐怖する。

 ここに描かれた恐怖には2種類ある。
★ひとつは凶悪な人格13号。
 13号はアパートの隣の住人から「静かにしろ」と言われただけでキレて殺してしまう存在。(その間、十三の意識はない)
 何をするかわからない。
 13号は次々と殺人を行っていき、心を許し13号の人格のことを話した友人までも殺してしまう。
 この自分を制御できない恐怖。

★もうひとつの恐怖は敵。
 13号が殺人を行ったせいで十三には様々な敵が襲い来る。
 刑事のビデ。
 刑事の息子でヤクザ、父親の復讐に燃えるヒデ。
 ヤンキーの死神とバルーン。
 謎の宗教団体。
 13号が行ったこととはいえ、彼らは十三に怒りの鉾先を向けてくる。
 13号の人格でない時は暴力がそのまま十三に加えられる。
 この恐怖。

 この二重構造が恐怖を加速させていく。
 螺旋状に恐怖を盛り上げていく。
 A→B→A→B→A→Bだ。
 これは単に怪物が主人公に襲い来る従来の恐怖ものとは大きく違う。

 それにして現代に巻き起こる信じられないような凶悪犯罪。
 これらは誰の中にでも巣くう可能性のある13号の仕業かもしれない。
 その現代性がこの作品をさらに怖ろしくしている。


 
コメント
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