平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

医龍2 カルテ5

2007年11月09日 | 職業ドラマ
 カルテ5

★タイムサスペンス!ビジュアルサスペンス!
 今回も見せてくれる。
 まずはタイムサスペンス。
 特殊な型の血液ゆえに輸血なしで手術をすることに。
 そのために行うのが血液の循環停止。
 40分で終わらせなくては血液が脳にいかなくなり脳死に。
 手術室の時計が時を刻んでいく。
 朝田龍太郎(坂口憲二)は驚異的なスピードで手術をこなしていくが、解離は大動脈まで進んでいて。
 まさにタイムサスペンス。
 ビジュアルサスペンスは700mlの血液。
 補充の血液が来ないため朝田は血液を薄めて対応。
 しかし手術の間に血液は消費される。
 700mlを切ると人工心肺を離脱できなくなる。
 少しずつ700mlに近づいていく血液。
 ビジュアルサスペンス。
 見事なサスペンスシーンの作り方。
 手術シーンはサスペンスでもある。

★ぶつかり合い
 「プリズンブレイク」などもそうだが、人と人とが真剣にぶつかり合うのはドラマになる。
・朝田と外山誠二(高橋一生)。
 「もう無理だ」とわめく外山に朝田は言う。
 「あきらめずに最後までやるのが俺のチームだ」
・朝田とMEの野村博人(中村靖日)。
 「自分にはできない」という野村に。
 「オペが怖いのはお前だけじゃない。俺たちはチームだ。ひとりでは無理でも後ろに仲間がいる。おまえはひとりじゃない」
・鬼頭笙子(夏木マリ)と荒瀬門次(阿部サダヲ)。
 「ひとりの患者より10年後の1万人の患者」と言う鬼頭に荒瀬は「朝田ならその両方を救うかもしれないぜ」
・木原毅彦(池田鉄洋)も野口賢雄(岸部一徳)に。
 「明真にだって医者はいるんだよ!」
 電話を切ってからだが(笑)。

 ぶつかり合いではないが、信念のあるせりふも迫力がある。
 片岡一美(内田有紀)は恩田(竜雷太)とこんな会話をする。
 「私の病院の最高の医師がオペをしていますから」
 「そいつは美羽を救えるのか?」
 「はい」

★キイパーソン、キイせりふ
 今回は木原の存在が面白い。
 野口の意思を無視して同型の血液を持っている人間を探す木原。
 後日、彼は自分のした行為を野口に謝る。
 しかし野口は「よくやった」と言う。
 木原の行為は恩田への弁解になると思ったのだ。
 おまけに手術まで木原がやったことに。
 マイナスだった木原が事態を好転させるプラスの存在に。
 利用されている木原と野口のしたたかさがよくわかる。
 この作品、どんなキャラクターもおろそかにしていない。
 どんな脇キャラであってもドラマ作りに参加させる。
 だから面白い。

 それはせりふにも。
 一美の「私の病院の最高の医師がオペをしていますから」というせりふがあとになって活きてくる。
 野口の「明真の医師が手術した」という説明と矛盾しているのだ。
 恩田はそのことを指摘するが……。
 この作品、ひとつのせりふもおろそかにしていない。
 何でも利用できる物はドラマ作りに利用する。そんな感じだ。

※追記
 今回はMEの野村博人(中村靖日)物語の完結編でもある。
 自分をバカにしている明真の外科医に野村は言う。
 「ありがとうございます。先生のおかげで本当のチームとは何かを知ることができました」
 これで野村は過去の呪縛から抜けチームに入った。

※追記
 小高七海(大塚寧々)はさりげない。
 退院する美羽(黒川智花)にチョコを渡す。
 「お返し。借りは返す主義なの。大人のカカオ70%」
 このシャイな感じがいい。
 それにしても「カカオ70%」……。
 荒瀬もそうだが、麻酔医というのはせりふに数字を入れるのが好きだ。

※追記
 松平幸太朗(佐藤二朗)は手術を見ながら拳を握りしめるなど、医者の心が残っているところを見せた。


コメント
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