平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

14才の母 第1話

2007年11月13日 | ホームドラマ
 第1話 「中学生の妊娠…ごめんね、お母さん」の再放送を見る。

★キャラクター描写
 まずは主人公一ノ瀬未希(志田未来)。
 家族、友達に恵まれすべてに調和した生活。
 ちょっとはみ出したい年頃。
 放送部。空がきれいで初めて午後の授業をふける。

 一方、桐野智志(三浦春馬)。
 母親の期待で抑圧されている。
 息苦しい。自由になれないでいる。
 空が青いことを考えるのは、空を見上げるのは解放されたいから。
 しかしあくまで枠の中にいる。
 未希は智志の心の陰が気になり、智志は未希の存在に解放される。
 犬を助けて川の中に飛び込むことなど、今までの彼の生活では考えられなかったことだろう。
 この辺のキャラクター描写、実に巧みだ。

 こんな描写もある。
 いいお金の使い方を教えるために5万円を渡す智志の母親。
 智志は未希に尋ねる。
 5万円あったら何をする?
 「どこか遠くへ行く。行ける所まで」
 彼らは大人になろうとしている。家から出たいと思っている。

 月のシーンは少しファンタジック。
 不良に負われて「全力疾走して暴れるのも結構楽しかった」と笑う智志に未希。
 「キリちゃんが笑うと楽しくなる」
 心を開いたふたりは横になって月を見る。
 「月の空は空気がないから真っ黒。暗い」と未希が言うと智志。
 「ずっと暗かったたらそれがあたりまえだから寂しくない」
 「よしよし」をする未希。

 さすが井上由美子脚本。
 
★展開
 未希が妊娠してからは彼女の不安を丹念に描く。
 テロップ「二ヶ月後」
 部屋のカレンダー。
 未希に変化。
 母・加奈子(田中美佐子)が大声で「いってらっしゃい」と言うのを嫌がる。
 体育を休む。
 取り出して読む保健体育の教科書。
 柳沢真由那(谷村美月)の「あんたたちだってやれば子供できるしね」という言葉。
 行為のあった日、手帳に貼り付けたプリクラ→小道具。
 妊娠してお腹の大きい女性。
 ネットの妊娠チェック。
 父親の昇進を喜んでやれない未希。
 智志にも遠回し。
 「あれからよく謝るね」「子供好き?」「結婚はいつ頃したい?」
 妊娠検査薬。
 財布には千円しかなくて万引き→未希の切羽詰まった感情がよく伝わる。
 検査薬の結果。
 トイレから出て来ない未希。

 この間、妊娠という言葉は未希から一言も出て来ない。
 未希が「赤ちゃんが出来ちゃったのかしら」とでも言ってしまったらさぞ興ざめだろう。
 ここは何も言わないから未希の気持ちが伝わってくる。
 見事な感情描写だ。

★大人になるということ
 「初めて自分がひとりだって感じた」という未希のモノローグが印象的だ。
 大人になるとはひとりであることを認識することだからだ。
 すべてに調和していた子供の世界から孤独な大人の世界へ。
 それを1話、60分の間に描ききった。


コメント
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