平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

上海タイフーン

2008年09月14日 | 職業ドラマ
★中国ビジネス
 NHKの土曜ドラマは現代社会のテーマを的確に切り取って見せてくれる。
 今回は中国ビジネス。

 主人公・アパレル会社主任・野村美鈴(木村多江)は中国との合弁会社で女性用下着を製作し売ろうとしている。
 しかし色の問題で対立。
 中国では赤は縁起のいい色。絶対に売れるという中国の出資者・曹飛(ピーター・ホー)に対し美鈴は契約通り指定の色のピンクを主張。赤だとブランドイメージが崩れるというのだ。
 色に対する価値観の違い。
 「今すぐ利益をあげたい」という考えと「ブランドを守りたい」という考えの対立。
 おまけに曹は交渉相手として手強いし、工員達は「やり直しをするのは許せない」とストライキを行ってしまう。

 ここには異文化でビジネスをする難しさがある。
 カエルの泣き方は「グアグア」と「ゲロゲロ」だし。
 こういう素材を選んだ所は好感が持てる。
 日テレでも観月ありささんで中国ものが10月から始まるらしいが比較が楽しみ。
 
★美鈴というキャラクター
 美鈴は30歳。
 ブランドのアパレルメーカーでバリバリやってきてプライドもある。
 それ故、中国のやり方に迎合してしまう会社の姿勢に怒って辞めてしまう。
 だが会社を辞めてひとりの人間として世の中に立ち向かわなければならなくなった時、自分のプライドや自信がどんなに根拠のなかったことかを思い知らされる。
 再就職は決まらない。(それなりに実績を積んできた人間はプライドが高く使いづらいのだそうだ)
 そして恋人には別れようと言われる。(目の前の仕事に没頭するあまり、相手が何を望んでいるかに気がつかなかったのだ)

 なかなか丹念な人物の描き込みだ。
 主人公をどん底にまで落としてみせる作劇も見事。

 そして第1話はそんな美鈴が中国にやって来る所で終わる。
 すべてを失った美鈴だが、まだちっぽけな自信とプライドは残っていたらしい。
 中国で成功してリベンジしようというのだ。
 しかし中国で成功した女社長・三井香(松下由樹)は「ああいうのがすぐに逃げ帰るのよ」と語り、不動産屋で働く遠野麻里(MEGUMI)は3万円の汚い部屋に嘆く美鈴に強い覚悟がないことを見抜く。

 さてこんなプライドだけで甘ちゃんの美鈴が厳しい中国社会でどの様に成長していくか?
 見栄えがよくてご都合主義の民放ドラマに飽きてきただけにどの位骨太のドラマを見せてくれるか楽しみ。
 脚本は「CHANGE」の福田靖さんか……。
 あの作品は「見栄えがよくてご都合主義のドラマ」だったけど、今回はどうだろう?


コメント (2)
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