平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

相棒 -劇場版-

2008年09月16日 | 邦画
 「相棒-劇場版-」

★作品の構成要素
 作者の中ではまずふたつのモチーフがあった様に思われる。
・ひとつは『殺人サイト・人民法廷による連続殺人』
・ふたつめは『チェスによる犯人との頭脳合戦』

 次に事件には動機が必要。
 『劇場型快楽殺人』という選択肢もあったが、『難民キャンプで拉致されテロリストに殺された過去の事件』を持って来た。

 そして劇場版ということでストーリーの大きさも要求される。
 テレビ塔殺人、爆破殺人未遂と盛り上げておいて、ついに登場したのが東京ビッグシティマラソン。
 犯人のターゲットは3万人のランナーと15万人の大観衆という大がかりな仕掛け。

 また隠し味も忘れない。
 外務省S文書というスキャンダル。 

 これらふたつのモチーフ、動機、大がかりな仕掛けを組み合わせて作られたこの作品。
 わくわくさせられる素材てんこ盛りだが、クライマックスは今ひとつ盛り上がらなかった。
 盛り上がれるだけ盛り上げておいて息切れの感じ。
 マラソンの設定で予算がなくなったのか肩すかし。
 ネタバレになるので書かないが、ハリウッド映画なら絶対にスペクタクルシーンになってる。
 ここは残念。

★次々と変わっていく局面
 ただし次々と局面が変わっていく展開はさすが。(以下一部ネタバレ)
・猟奇的な殺人事件が爆破未遂事件へ
・それらが同一犯による連続殺人事件と判明
・殺人サイト(陣川が狂言まわしとしていい働きをしている)
・一連の事件に関連している少女・やよい(本仮屋ユイカ)から動機と犯人が確定
・右京(水谷豊)と犯人とのチェス対決
・チェス対決が意味するもの
・東京ビッグシティマラソン

 事件が次々と違う顔を見せていく。
 事件がどんどん大きくなっていく。
 これらはサスペンス&アクション映画には不可欠なもの。
 ひとつの所に留まっていっては観客は退屈してしまう。

★右京が熱くなる時
 しかし事件が大規模になっても右京さんは変わりませんね。
 常に<冷静>。
 少しあせるくらい。
 そんな<冷>で<静>な右京さんが<熱く><動く>時が最大の見せ場。
 それは薫(寺脇康文)がピンチになった時。
 これが「相棒」の「相棒」たる所以。
 薫の熱さが右京に伝わるのでしょうね。


コメント
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