平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

篤姫 第38回「姑の心 嫁の心」

2008年09月22日 | 大河ドラマ・時代劇
★今回は話を展開させるための布石の話
・天璋院(宮崎あおい)と和宮(堀北真希)の決裂。母の心と妻の心。
 これは後にふたりが手を携えて幕府の難局にあたることを描くための布石。
 天璋院と和宮が最初から強い絆で結ばれていたら協力し合った時盛り上がらない。感動半減してしまう。
 山があれば谷。
 それがドラマだから今回は谷を描いた。

 こんな布石もある。
・久しぶりに帯刀(瑛太)の父、肝付兼善(榎木孝明)が登場。
 これは次回兼善が薩英戦争で死んでしまう布石?
・勝麟太郎(北大路欣也)と坂本龍馬(玉木宏)。
 これは龍馬の活躍を見せる布石?
 視聴者としても玉木さんの龍馬が見たいし。

 囲碁の布石の様に次の展開のためのエピソードをふって置く。
 今回はそんな話だった。

★音楽
 滝山(稲森いずみ)VS天璋院(「よもや天璋院様が何かしたのではありませんね?」「わたしは知らぬ」)
 勝VS天璋院(「都へは軍艦で」「いいえ陸路です」)
 このシーンでは於一時代に使われた明るい音楽が使われた。
 結果コミカルに。
 音楽ひとつでシーンの印象が違ってくる。そんないい例だ。

★小道具
 今回は小道具が効果的に使われた。
 都へ旅立つ家茂(松田翔太)。
 和宮はお守りを渡し、天璋院は特別に作らせた仏様と自分で刺繍した袋。
 どう見ても天璋院が渡した物の方が上。
 和宮の中には上洛を後押しした天璋院への怒りがあるのだろうが、一方で女のプライドがある。
 家茂には誰よりも心のこもったものを渡したい。だが天璋院に負けてしまった。
 それに家茂は自分の意見より天璋院の意見に従う。
 そんな女心もあったのだろう。
 微妙なニュアンスを感じさせる小道具の使い方だった。

★ただし……
 家茂が上洛する作者の解釈には説得力がない。
 その解釈は『攘夷が無理なことを直接帝にお会いしてわかってもらう』というものだが、情勢から見て説得が難しいことは明白。
 過去、天璋院は懐に飛び込んで人を動かしてきたから彼女が家茂にそう説いたことは物語の文脈上正しいのかもしれないが、ここで家茂が行くことは政治的には暴挙。
 説得がならなかった時幕府の権威は失墜するし、仮に説得できたとしても攘夷派が騒ぎ出すことは確か。
 そんなことが読めない天璋院や家茂、勝ではないだろう。
 事前にもっと根回しするとか京の攘夷派を一掃するとか方法はあるはず。
 まあ政治を描くのがこの作品の目的ではないので仕方ないのだが。
 この点でいささか今回は共感できなかった。


コメント (2)
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