平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

花燃ゆ 第43回「萩の乱に誓う」~死んでいく前原のせりふがないのは脚本家の怠慢だ!

2015年10月26日 | 大河ドラマ・時代劇
 この作品、明るさや躍動感がないんですよね。
 涙、涙、涙……、出て来るのは不幸な人ばかり。
 日曜日の夜にこれを見せられるのは、きついわ……。

 たとえば、朝ドラの『あさが来た』。
 同じ幕末を描いていても、明るい。
 視聴者は激動の時代をたくましく生きていく人たちを見たいのだ。

 萩の乱を経た美和(井上真央)のリアクションも……。
「もう誰も死なんでほしいのに。どうして大事な人ばっかりが……」
 普通の人がするリアクションで、主人公としては物足りない。
 主人公なら、どうしてこのようなことが起きたのか、考える人物になってほしい。
 やっぱり問題なのは、明治新政府の強権政治でしょう。
 美和の生涯は、ずっとこうした強権政治に苦しめられて来た。
 ある時は幕府、ある時は長州藩、そして今回は明治政府……。
 いい加減、自分や大切な人を不幸にしている元凶について考えてほしい。
「世話ぁない」とスルーしてしまったり、泣いて嘆くばかりでは、時代や運命に翻弄されているだけの人。
 ここに視聴者は何も共感しない。
 どうせ次回では、萩の乱の悲劇など、すっかり忘れて描かれるんだろうし。

 木戸孝允(東山紀之)も言い訳してたなぁ。
「政府の土台は今こそ揺るぎのないもんにせにゃならんのです。でなければ、この国は新しい国家として生まれ変わることができん。こうするのが一番なんです」
 まあ、国家の側としては、こうせざるを得ないのはわかるんですよ。
 自分の権力の基盤を揺るがすものは、弾圧し、排除する。
 これが国家というものの正体。

 安倍首相は、この木戸の言葉に涙を流してうなずいてるだろうな。
「そうそう、ボクのやってることは正しいんだ。新しい国家をつくるためには憲法も法律も無視していいんだ」
「ボクを非難するマスコミは政府の土台を揺るがすものだからつぶしてしまおう。下着ドロボー大臣のことも揉み消してしまおう」

 でも、権力側の木戸や安倍首相はいいとして、民衆の側に立つと決心した楫取素彦(大沢たかお)はどうなのか?
 何と木戸に理解を示し、フォロー。
「誰かが背負わなきゃならん役目なんじゃ。わかってる」
 もともと楫取は物分かりのいい人なんだけど、ぬるいよな~。
 これだったら、権力者のあらゆる非道が正当化される。
 たったひと言、「誰かが背負わなきゃならん役目なんじゃ。わかってる」と言えばいい。

 それと、死んでいく前原(佐藤隆太)のせりふ、なかったですね。
 ここで前原が何を言うかがドラマなのに。
 ナレーションで終わり。
 まあ、斬首までの前原の心情がていねいに描かれていれば、せりふなしでもいいんですよ。
 無言の芝居で心情が伝わってくれば、ドラマとしてこんなに素晴らしいことはない。
 でも、残念ながら伝わって来なかった。
 無念なのか、仕方がないなのか、満足なのか、後悔なのか、自分の人生や松陰や松下村塾の仲間たちのことをどう考えたのか……。

 まとめます。

美和「もう誰も死なんでほしいのに。どうして大事な人ばっかりが……」
楫取「誰かが背負わなきゃならん役目なんじゃ。わかってる」
前原 せりふなし。

 誰でも書けるせりふ。
 前原に関しては逃げ。
 脚本家さん、仕事をして下さい。

コメント (2)
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