格差階級社会をなくそう

平和な人権が尊重される社会を目指し、マスゴミに替わって不正、腐敗した社会を追求したい。

大久保隆規氏初公判が示した検察捜査の不当性

2009-12-22 20:59:33 | 植草一秀氏の『知られざる真実』


大久保隆規氏初公判が示した検察捜査の不当性
小沢一郎民主党幹事長の公設第一秘書大久保隆規氏が政治資金規正法違反を問われている事件の初公判が12月18日に東京地裁(登石郁朗裁判長)で開かれた。


大久保氏が準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)からの政治献金をダミーの政治団体からの献金として政治資金収支報告書に虚偽記載したとの疑いがかけられている。


検察側は大久保氏が西松建設からの企業献金であることを知りながら、ダミー団体からの献金であると虚偽の記載をしたと主張するが、大久保氏は政治団体には実体があり、政治団体名を収支報告書に記載したことは虚偽記載にはあたらないと主張している。


初公判を報道するメディアの大半は、検察側の冒頭陳述をベースに伝えているが、検察側と大久保氏側の主張は真っ向から対立しており、報道のあり方としては双方を同等に扱うことが必要である。


日本の裁判報道では、被告が全面否認している事件でも、検察側の主張に大きく偏った報道が展開されることが圧倒的に多い。裁判員裁判が開始され、各報道機関は裁判員制度の下での事件報道について、被告を犯人視しない中立な報道を心がける方針を示してはいるが、現実には従来同様の検察サイドに過度に依拠した報道が継続されている。


この事件は本年3月3日に突然、任意の事情聴取もなく大久保氏が逮捕・勾留されたところから始まった。


総選挙を目前にした時期に、民主党代表を務める小沢一郎氏の公設第一秘書が極めて不透明な事由で逮捕・起訴されたことは、重大な政治謀略であったとの批判を免れない。


事案の不透明性、不自然さについて、大久保氏側が冒頭陳述で指摘した。この指摘こそ、この事件の本質を衝くものである。


検察サイドは「天の声」なる陳腐な表現を用いて、小沢氏サイドが企業献金を受けて公共事業を配分してきたかのような印象を生みだすことに懸命である。しかし、本年7月に示された西松建設元社長元社長に対する東京地裁判決では、「献金は特定工事の受注の見返りではなかった」と認定された。


多くのマスメディア報道は検察が用いた陳腐な「天の声」の表現を強調し、また、大久保氏が政治団体からの献金を西松建設からの建設であったことを認識していたのかどうかが焦点であるかのように伝えている。


しかし、問題はそれほど単純ではない。政治資金規正法は寄付行為者を収支報告書に記載することを求めているのであって、寄付行為の裏側にある資金拠出者を収支報告書に記載することを求めていないからである。


「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」という二つの政治団体に実体があるのなら、収支報告書にこの二つの団体名を寄付行為者として記載することは虚偽記載にはあたらないとの解釈が有力である。


つまり、仮に大久保氏が二つの政治団体から提供される資金の拠出者が西松建設であるとの感触を有していたとしても、二つの政治団体に実体があるのなら、収支報告書に二つの政治団体名を記載することは法律違反には該当しない可能性が高いのである。


問題とされている政治資金が「賄賂」に該当するのなら「悪質性」は高いということになるだろう。しかし、もし「賄賂」であることが立証されるのなら、事件は政治資金規正法違反だけでの立件に終わっていないはずである。ところが、現実の事件処理は虚偽記載だけとされており、このこと自体が問題の「悪質性」を否定する何よりの根拠となる。


仮に「虚偽記載」だけが問題とされるとするなら、今回の「事件化」はあまりにも異常と言わざるをえない。この点についての指摘が、弁護側の冒頭陳述に明瞭に示されている。以下にその概要を読売新聞報道から転載する。






「◆弁護側の冒頭陳述◆


(大久保被告の弁護側の冒頭陳述の要旨)


 ◆二つの政治団体の献金額


 (西松建設のOBが代表だった)新政治問題研究会と未来産業研究会はそれぞれ設立から解散までに4億2670万円、5153万円の寄付などを行っているが、その多くが小沢氏以外の政党や政治団体向けのものだ。2003~06年に両団体が陸山会などに行った寄付は3500万円。同じ期間に他の政治団体などが受け取った寄付などは約7860万円で、陸山会などへの寄付が突出しているとは言えない。


 ◆公訴権の乱用


 過去に政治資金規正法違反のみで起訴された事件は、弁護人の知る限り、すべて寄付を受領したのに収支報告書に記載しなかったという裏献金やヤミ献金のたぐいであり、ほとんどが1億円を超えている。本件は、寄付自体は収支報告書に事実の通り記載しているにもかかわらず、寄付者の記載が正しくないとして刑事責任を問われているという点で、裏献金とは性質を異にする。金額という点でも、従前の起訴例と比較して異例だ。


 大久保被告は今年3月3日の出頭直後に逮捕、拘置され、任意の事情聴取が行われず、強制捜査で証拠保全が図られた。一方、2団体から寄付を受けている他の(政治家の)政治団体などはそもそも捜査対象にされず、現在も不問に付されたままだ。


 ◆ダミー団体ではない


 新政治問題研究会と未来産業研究会は、それぞれ政治資金規正法に基づいて設立届を提出し、受理された。事務所の賃借料も支出し、西松の資金とは区別される資金を保有。会員の加入は西松従業員の任意であり、会費も、上乗せされる賞与支給の前に支払いをしていた者が多数いた。両団体の資金が西松の資金と評価することはできない。


 ◆談合関与の事実なし


 検察官は小沢氏の元秘書が2000年6月まで東北地方の公共工事受注の決定権限を有しており、それ以降は大久保被告が引き継いだと主張するが、元秘書は同月に衆議院議員に選出されてから小沢氏の事務所と一線を画しており、実際の引き継ぎもなく、大久保被告が元秘書の地位を引き継ぐことはなかった。


 大久保被告は、03年6月以降にようやく建設会社などからの陳情の窓口として認識されるようになったものの、受注への力添えを依頼されても、実際に何かできるわけではなかった。


 ◆ダミー性の認識なし


 小沢氏の事務所は、毎年、前年度実績に基づいて寄付を依頼しており、(西松建設側と)寄付金額を取り決めた事実はない。寄付先も、西松側の意向で変更しており、小沢氏の関係者が依頼したことはない。


 大久保被告は、2団体は西松が紹介してくれた団体だと認識し、03年暮れ頃、寄付の依頼を初めてした時、西松幹部から「ちゃんと届け出もされている」と説明を受けた。2団体の資金の管理や帳簿の作成を行っていたのが西松の元従業員であったことや、原資の調達などの内部事情は全く認識していなかったし、知りうる立場になかった。」


(12月18日読売新聞)


 弁護側が指摘するように、新政治問題研究会と未来産業研究会は、それぞれ政治資金規正法に基づいて設立届を提出し、受理されている。事務所の賃借料も支出し、西松の資金とは区別される資金を保有している。


 政治資金収支報告書に二つの政治団体名を記載して報告したことは「虚偽記載」にあたらないとの弁護側の主張は強い説得力を持っている。


 本年3月25日午前零時のNHKニュースは大久保氏が、「献金が西松建設からの献金であることを知っていた」との供述を始めた模様と報道した。しかし、初公判では、「献金が西松建設からの献金と認識していた」との私設秘書の供述調書の存在が示されたものの、大久保氏が同様の供述を示したとの事実は示されなかった。


 NHK報道問題も全容を解明し、問題があるなら関係者の責任が問われなければならない。


 裁判が公正に行われることを期待したいが、初公判で明らかにされた事実は、大久保氏の無罪主張の正当性を改めて裏付けるものであったと判断できる。


 公正な裁判を確保することに力が注がれるべきであるが、同時に並行して、このような政治謀略がどのようなプロセスを経て実行されたのかも明らかにされる必要がある。


 政権交代に伴い実現しなければならない最重要の課題のひとつが、日本の警察・検察・裁判所制度の近代化である。この問題解決なくして、日本の暗黒社会を解消することはできない。

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軍事産業のデマ宣伝に踊らされる市民

2009-12-22 19:58:00 | オルタナティブ通信

軍事産業のデマ宣伝に踊らされる市民



 2002年8月23日、「ロシア軍」の戦闘機スホーイ25が、グルジア領土の国境付近30kmのパンキン渓谷を空爆した。グルジア政府は、この空爆に対し「ロシアによる宣戦布告行為である」として強く非難を行った。

昨今の、グルジア・ロシアの「軍事衝突の火種」が、既に、この頃から現在に至るまで「継続して来た」事を窺わせる。

 ロシア側は、この渓谷でチェチェン・ゲリラが活動しており、ロシアへの「テロ行為」の準備が行われていた趣旨を発表し、グルジア政府のチェチェン・ゲリラの活動容認を「ロシアへの軍事的脅迫である」として、逆にグルジアを批判した。

ロシアVSグルジア政府の「子供じみた、上げ足取りの、相互非難」と言う、近年見られる、紛争の「泥沼化」を象徴する応酬である。

「国際世論」は、ロシアによるチェチェン人「虐殺」への、「非難の大合唱」を行った。

 「奇妙な事」に、空爆は、早朝に行われた。パンキン渓谷に最も近いロシア軍基地であるモズドク空軍基地からスホーイ25が飛び立ったとしても、早朝に、この渓谷に到達し空爆を加えるためには、朝4時には出撃する必要があった。しかし、ロシア軍のスホーイ25には、夜間飛行装置が装着されておらず、朝4時の離陸は不可能である。

この「ロシア軍」による空爆は、ロシア軍戦闘機には、物理的に「不可能」であった。

ロシア政府は、「不思議な事に」、この事実に一切「触れず」、この点での反論も一切行っていない。

 空爆を受けたパンキン渓谷の付近で、夜間飛行装置を装着したスホーイ戦闘機を所持しているのは、「グルジア政府」だけであった。グルジア軍のスホーイ戦闘機は、「イスラエル軍によって」改良を施され、夜間飛行装置を装備していた。

グルジア政府は「イスラエル軍の支援の下、自分で自分の領土を爆撃し、ロシアによる宣戦布告」として戦争準備に「取り掛かっていた」。

「国際世論」は、グルジアの自作自演に対し、「ロシアによるチェチェン人虐殺」として非難の大合唱を展開した。

ロシアは、「グルジアの自作自演には一切触れず」、「チェチェン・ゲリラを殺害して何が悪い、グルジア=イスラエル軍と、戦争をやるなら、いつでも受けて立つ」と戦争準備体制を取った。

 これがロシアン・イスラエル・マフィアをバックにしたロシア政府と、グルジア=イスラエル軍の、「暗黙の共同自作自演」による、戦争創出政策=兵器販売促進政策である。空爆で殺害されたチェチェン人の命は「必要コスト」と言う事である。

軍事産業・軍組織、政府トップが常に利益を得、民衆・一般市民が常に「殺害され命を奪われる」、これが、戦争と言うモノの「実態」である。

北朝鮮の核ミサイル製造に関与してきたイスラエルの軍事産業の経営陣が、そのまま北朝鮮のミサイルを迎撃する日本のMDミサイル防衛システムを「製造している」レイセオン社の経営陣であるという図式に、ロシア・グルジア紛争と同一の「戦争経済のメカニズム」を、アジアにも見る事が出来る。

米国・イスラエルの軍事産業が常に利益を得、アジアの民衆・一般市民が常に「殺害され命を奪われる」、これが、アジアにおける戦争と言うモノの「実態」である。「サブプライム金融恐慌で預金残高がマイナスになった欧米人の貯金通帳の残高を、プラスに転じてやるため、アジア人同士が殺し合う必要は」一切、無い。

 軍事産業とマスコミに「踊らされ」、反中国・反北朝鮮で「戦争への熱狂・狂気の道を歩むか」、事態を冷徹に見通し、戦争回避の道を探るか。「衆愚の1人として民度の低さを体現するか否か」は、各人の状況分析力と理性に、かかっている。


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