格差階級社会をなくそう

平和な人権が尊重される社会を目指し、マスゴミに替わって不正、腐敗した社会を追求したい。

本格検討開始の普天間移設と日米密約問題

2009-12-31 15:54:28 | 植草一秀氏の『知られざる真実』

本格検討開始の普天間移設と日米密約問題
民主党の小沢一郎幹事長が12月8日、国会内で新党大地の鈴木宗男衆院外務委員長と会談し、普天間飛行場の名護市辺野古沖への移設について、「あのきれいな海を埋め立てていいのか」と否定的な考えを伝えていたことが明らかにされた。


私も沖縄の辺野古地域に視察に訪れたことがあるが、辺野古の美しい海岸を破壊して軍事基地を建設することの非合理性は明確である。辺野古の美しい海岸を破壊して巨大滑走路を建設するべきでない。普天間移設に伴い、本来必要な代替施設とはヘリコプター離着陸用の施設であった。


ところが、日米協議を通じて、1300メートルの滑走路が2本、V字形に建設されることになった。米国軍部はそもそも辺野古地域にV字形滑走路を建設する計画を有していた。老朽化した普天間飛行場の施設に代えて、新しい滑走路を日本政府負担で建設させようとの考えがあったと考えられる。


日本政府側がV字形滑走路建設に同意したのは、海上滑走路建設が巨大な公共事業であり、建設を受注する事業者と間を取り持つ政治家にとって、巨大な利権になるからだったと考えられる。


私は辺野古に移設するなら、当初の条件に沿ってヘリコプター離着陸施設のみを建設するべきものと考えてきた。かけがえのない美しい海岸を破壊して軍事基地を建設することに対して、地元の住民が極めて強く反対するのは当然のことである。


自民党政権は、米国政府と辺野古に海上滑走路を建設することで合意を成立させてしまった。鳩山政権が発足し、鳩山政権は辺野古での海上滑走路建設を回避するための方策を、必死に模索している。米国に対して、これまでの小泉政権に代表される、隷属の姿勢から脱却し、粘り強く日本の主張を貫こうとしている。


日本国籍のメディアであるなら、日本国民の利益を守ろうとする鳩山政権を懸命に支援すべきである。ところが、ほとんどのマスメディアが「売国報道機関」になり下がってしまっている。鳩山政権を攻撃することにいそしみ、日本政府が米国政府に隷従するべきと受け取れる主張を展開し続けている。


普天間飛行場の機能をいくつかに分散して、国内に再配備すれば辺野古の海岸を破壊する海上滑走路建設を回避することが出来るかも知れないのだ。その方策を見出すために半年程度の時間を費やすことは賢明な対応以外の何者でもない。ヒステリックに鳩山政権を批判する方がどうかしている。






自民党政権は13年間も問題を解決できずに今日に至っているのだ。石破茂元防衛相は、テレビ番組で自分が防衛問題の第一人者であるかのごとくに振る舞い、同じ内容の説明をくどくどと繰り返すが、13年間も問題を解決できなかった自民党の政策責任者に、偉そうな講釈を垂れる資格はない。


自民党が無責任に成立させてしまった日米合意の最大の問題は、沖縄県民の意向だけがまったく反映されなかったことにある。新しい滑走路を日本の費用負担で建設させようとする米国と、海岸を破壊する巨大公共事業で巨大利権を確保しようとする自民党が、沖縄県民の意向を無視して勝手に合意を成立させてしまっただけなのだ。


マスメディアの鳩山政権批判が続いているが、鳩山政権にはぜひ、じっくりと時間をかけて最善の方策を見出して欲しいと思う。鳩山首相が明確な結論を示さないことをマスメディアが攻撃するが、すべての評価は結果が示されたあとに定められる。結論を見ぬうちから性急に評価を下すならば、結果が出たときに不明を恥じなければならなくなるだろう。


普天間基地移設問題以上の重大性を持つのが「日米密約」問題である。沖縄返還に際して核持ち込みについての密約が日米政府間で交わされた等の疑惑である。


問題の最大のポイントは、密約の存在についてこれまで繰り返し国会で質問が行われた際に、政府が密約の存在を否定してきたことである。国会で虚偽の答弁が繰り返されてきた疑いが存在するのだ。


したがって、問題の名称を「日米密約問題」でなく、「国会での偽証問題」とするべきである。日本国憲法の基本を蹂躙する巨大犯罪が行われてきた可能性が高い。


日本国憲法の下で主権者は国民であることが明確にされている。主権者が代表者を選び、この代表者が国会を舞台に政治を司る。内閣は国民に責任を負う存在である。


この内閣が国会で虚偽の証言を続けてきたのならば、許されざる国民に対する背信行為である。石破氏は普天間基地移設問題で低劣な鳩山政権批判を行う前に、密約問題=偽証問題について責任ある見解を示すべきである。


密約問題はこれまでの自民党政権の深い闇を示す極めて分かりやすい事例になる。徹底的な真相解明が求められる。


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「悪徳ペンタゴン」との最終決戦になる参院選

2009-12-31 08:48:24 | 植草一秀氏の『知られざる真実』


「悪徳ペンタゴン」との最終決戦になる参院選
2009年も残すところあと2日になった。


2009年の最大の出来事は政権交代の実現だった。総選挙に向けて「悪徳ペンタゴン」の民主党攻撃は激しさを増した。「悪徳ペンタゴン」が最大の脅威だと位置付けたのは小沢一郎現民主党幹事長だった。


私は2008年5月28日に、


「自民党が恐れる最大の存在は小沢一郎民主党代表である」


を書いた。


1955年体制樹立以後、54年にわたって維持されてきた自民党支配の構造、1890年の大日本帝国憲法施行以降の120年、1867年の明治維新以降の140年の間、維持されてきた官僚支配の構造、1945年の第二次政界大戦終結後、64年間維持されてきた米国による日本支配の構造、これらの構造を根底から変革することが政権交代の目的である。


政治屋・官僚・大資本・米国・マスメディアの五者が巨大な利権複合体を形成し、日本政治を支配し続けてきた。私は「政・官・業・外・電=悪徳ペンタゴン」と命名したが、悪徳ペンタゴンは政権交代の実現阻止に向けて懸命の工作活動を展開した。


民主党は2005年9月の総選挙に大敗した。小泉首相の郵政民営化路線に対して、民主党岡田克也代表は明確な対立軸を示すことができなかった。


岡田代表が辞任したのちに代表に就任した前原誠司氏が率いることになった民主党は、耐震構造偽装、輸入牛肉への危険部位混入、ライブドア事件、防衛施設庁汚職事件などの問題で小泉政権攻略の機会を得たにもかかわらず、偽メール問題で自滅してしまった。


民主党は存亡の危機に直面した。この危機を救済する形で登場したのが小沢一郎氏であった。小沢氏の民主党代表就任は2006年4月だった。小沢氏の民主党代表就任直後、民主党は千葉7区の衆議院議員補欠選挙で劇的な逆転勝利を収めた。


2007年7月の参議院選挙で民主党は「国民の生活が第一」の基本方針を提示して選挙を戦い、大勝した。参議院で与野党逆転を実現させると同時に、民主党は参議院で第一党の地位を確保した。


民主党は解党の危機から脱出し、政権交代をうかがう地点にまで歩を進めることに成功した。民主党大躍進の原動力が小沢一郎氏にあったことは紛れもない現実だった。


「悪徳ペンタゴン」は小沢一郎氏攻撃に総力を結集し続けた。2007年7月の参議院選挙では徹底的な小沢一郎氏に対するネガティブキャンペーンが展開された。この基本はいまもまったく変わっていない。


習近平中国副主席来日に際しての天皇との会見は、政治判断として順当なものであった。この会見を公然と批判した宮内庁職員に対して小沢一郎氏が厳しく批判したのは当然のことである。ところが、マスメディアは小沢一郎氏に非があるかのような印象操作を徹底して実行した。


2007年11月の自民党と民主党の大連立構想も、小沢一郎氏の影響力を低下させるための工作であった可能性が高い。民主党が大連立に乗れば自民党が下野するリスクが低下し、民主党が大連立を拒否すれば小沢氏の党内での影響力が低下する。これが大連立構想の背後にある考え方であったと思われる。


2008年4月の日銀幹部人事では、財務省出身の渡辺博史氏の副総裁就任を小沢代表が拒絶した。民主党内部では渡辺氏の副総裁就任を容認する動きがあった。これも小沢氏の影響力を低下させるための工作活動であった可能性が高い。


2008年9月の民主党代表選では、マスメディアが執拗に複数候補による代表選実施を要求した。客観情勢を冷静に見つめれば、小沢氏の無投票再選が順当そのものであったが、メディアは執拗に小沢氏の無投票再選を批判した。小沢氏を排除したい、あるいは、民主党内の反小沢代表の動きを活発化させたいという「悪徳ペンタゴン」の意向を反映したものであったと考えられる。






究極の小沢氏攻撃が2009年3月3日の大久保隆規氏の逮捕だった。政治謀略以外のなにものでもないとしか言えない恐るべき権力行使が実行された。小沢氏は瞬時に真相を見抜いたと思われる。同日の記者会見において、検察捜査の不当性を強く指摘した。


必死の小沢一郎氏攻撃、民主党攻撃をはね返し、民主党はついに政権交代実現の偉業を成し遂げた。小沢一郎氏は5月11日、民主党代表辞任を表明し、後任の代表に鳩山由紀夫氏が就任した。マスメディアは必死に小沢前代表の院政だと主張し、鳩山新代表選出を攻撃した。


テレビ番組で御用コメンテーター業にいそしむ偏向放送局NHK出身の池上彰氏は、鳩山氏を新代表に選出したことについて、「民主党は愚かな選択をした」と断言した。


しかし、鳩山新代表を国民は好意的に受け止めた。8月30日に設定された総選挙で、民主党は地すべり勝利を獲得し、ついに政権交代が実現したのである。


これまで日本政治を支配し続けてきた官僚、大資本、米国と癒着する政治屋と、これらの利権複合体の走狗として情報操作にいそしむマスメディアは、これまで維持し続けてきた巨大利権を喪失する危機に直面している。


政権交代は実現したが、利権複合体が完全消滅したわけではない。悪徳ペンタゴンは首の皮ひとつ、生命を維持しているのである。最後の望みの綱が2010年夏の参議院選挙である。


2010年夏の参院選で自民党が大敗すれば、「悪徳ペンタゴン」は自己崩壊過程に移行する。民主党を軸とする与党は2013年の衆議院の任期満了まで衆議院の解散を行わないであろう。丸3年の時間を確保すれば、これまでの日本政治に巣食っていた利権構造を根絶することも可能になる。


逆に言えば、「悪徳ペンタゴン」は断末魔の叫びとして、2010年夏の参院選での逆転に望みをつないでいるのだ。


鳩山政権発足以後の常軌を逸した鳩山政権攻撃、小沢一郎民主党幹事長攻撃の背後にはこうした「悪徳ペンタゴン」の意向が反映されている。


検察権力も必死である。自民党議員の政治利権スキャンダルをまったく捜査する意思を示さぬ一方で、鳩山首相および小沢幹事長周辺の調査に全精力を注いでいる。


予算編成も天皇会見も、普天間基地移設問題も、鳩山政権にほとんど落ち度はない。政権支持率の低下はメディアの情報操作によって人為的にもたらされているものである。


2010年夏の参院選に向けて、情報操作がさらに激化する可能性が高い。こうした状況を念頭に入れて、対応を考えなければならないのが現状だ。


これまでの利権複合体による利権政治に戻るのか。それとも日本政治を刷新して、国民の国民による国民のための政治実現を目指すのか。決定権は主権者である国民にある。日本政治刷新を希求する国民は、マスメディアによる情報操作の悪質さを口コミですべての国民に伝えてゆかねばならない。


国民が情報操作に誘導されて、悪徳ペンタゴンの術中にはまることを阻止しなければならない。2009年、激しい情報操作を克服し、日本国民は偉大な選択を示すことに成功した。2010年も流れを変えてはならない。激しい闘いが予想されるが、主権者である国民はこの闘いに勝利を収めなければならない。


2010年の闘いに勝利して、初めて日本政治刷新の基礎は固められるのだと思う。

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