首相学芸会会見が際立たせる安倍氏器量の小ささ
安倍首相が通常国会閉幕に合わせて記者会見した。
メディアは安倍首相が謝罪したことを大きく取り上げるが、こんなものは記者会見でも何でもない。
単なる「学芸会」だ。
記者からの質問は事前に提出されており、安倍首相は役人が書いた答弁を読んでいるだけだ。
Leader
ではなく
Reader
なのだ。
しかも、会見で質問したのは、
幹事社の毎日新聞とTBS
自由質疑になって質問権を与えられたのは、
ロイター
NHK
日経
フジ
の記者であり、御用会社の御用記者しか質問権を付与されていない。
TBSは幹事社で質問権を付与されたのだから、TBS元ワシントン市局長の山口敬之氏に対して発付された準強姦罪容疑での逮捕状が菅義偉官房長官の元秘書官で警視庁刑事部長だった中村格氏によって握りつぶされた事案について質問すべきだった。
TBSは山口敬之氏の問題に触れることなく、自民党役員人事、内閣改造、憲法改正発議に関する質問をした。
ロイターは、米中関係改善の日本への影響、
NHKは公文書管規則について、
日経は成長戦略に関連して「人づくり革命」とTPP11について、
フジは日露首脳会談と元島民の飛行機による墓参について
質問した。
安倍政権が追及されている問題を突く質問はほとんどなく、安倍政権が広報したいことがらについてのみ説明する機会を創作することが、質問権を与えられた各社の役割であったように見える。
安倍首相は、何も見ずに、自分の言葉で話しているように演じるが、安倍首相の左右前方には
プロンプター
と呼ばれる透明の板が設置されており、安倍首相はプロンプターに映し出される原稿を
読んでいるだけ
なのだ。
立派なReaderである。
質問内容は事前に提出を義務付けられており、政府の側が質問者を選んでいると見られる。
当然、答弁原稿が用意されており、安倍首相は役人が書いた原稿を
「読んでいるだけ」
なのだ。
こんな「やらせ会見」を公共の電波に乗せて流すこと自体が間違っている。
安倍首相は会見で、
「こうした対応が、国民の皆様の政府への不信を招いたことは、率直に認めなければなりません。」
と言いながら、自己弁護、自己の正当化に終始して、主権者国民から追及されている安倍政権の不祥事について、反省も責任の明確化も、まったく示さなかった。
安倍首相は会見の冒頭でこう述べた。
「私は、建設的な議論を行い、結果を出していこう、こう各党各会派に呼び掛けました。」
「しかし、この国会では建設的議論という言葉からは大きく懸け離れた批判の応酬に終始してしまった。
政策とは関係のない議論ばかりに多くの審議時間が割かれてしまいました。」
「国民の皆様に大変申し訳なく感じております。」
この発言に、安倍首相という人物の本質がくっきりと表れている。
国会で、森友、加計の「アベ友」疑惑追及に多くの時間が投入された。
その理由は、アベ政権が「アベ友」に便宜供与、利益供与する政治腐敗、政治私物化にまみれているとの疑いが鮮明になったためである。
この問題に決着をつけて、国政上の重要議案の審議に集中するためには、安倍政権が疑惑を払拭するための説明を完全に行う必要がある。
ところが、安倍政権は参考人で招致するべき人物を招致しない、国会に提出するべき関係文書を提出しない、などの対応で、説明責任を放棄してきた。
そのために、重要議案に関する国会審議を十分に行えなかったのだ。
その責任に触れることなく、あたかも、森友・加計疑惑を追及した野党勢力が悪いとでも言うような発言を示したのである。
本当に、「人間として小さい」としか言いようがない。