推奨本朗読】衆議院議員石井紘基著『日本が自滅する日「官僚経済体制」が国民のお金を食い尽くす!』(PHP2002年1月23日発行)
第四十三回目朗読 (2019.02.14)
第二章 経済むしばむ“官企業”―特殊法人と公益法人など (P112-186)
http://www.asyura2.com/09/senkyo68/msg/1067.html
第二節 特殊法人は法的には幽霊だ (P122-130)
●法が法を破壊している (P126-128)
これらの「公法法人」は実際、数千にもおよぶ子会社、孫会社、系列公益法
人などを作ってビジネスを展開している。いうまでもなくこれらの株式会社や
財団法人などは、商法や民法によって存立する「私企業」「私的団体」として
都合よく扱われている。
わが日本という国は、国が設立し、国民の税金で運営されている「公法法
人」が、その金を私企業などの私的所有団体に持ち出し処分することを、ある
法律によっては禁じ、別の法律によっては認めている1そういう国なのであ
る。まさに、特殊法人などを通じて法が法を破壊していることになる。
特殊法人の経理は正確には誰にもわからない。どんなに借金が膨らもうと不
良債権に漬かろうと、責任を問われる者がいない。民間企業のように「株主」
に監視されることもないし、行政機関として議会で承認される必要もない。
たとえば、都市基盤整備公団からマンションを買った一七〇〇人(世帯)ほ
どの人々が現在、公団の住宅販売のやり方が詐欺的商法だと裁判に訴えている
が、公団の方は「国の政策」なんだ、詳しいことをいう義務はない、と反論し
て通ってしまう。
特殊法人には経営そのものに対する責任の主体がない。企業のように個人責
任が問われない。一方、国会で国の機関が詐欺的行為で国民を騙していいのか
と追及されると、「契約書を取り交わした。受託の価格は売り手と買い手の合
意で決まる」などと「私的契約の自由」や「市場原理」を持ち出してくる。時
と場合によって、行政機関のようにも振る舞い、民間企業のようにも振る舞う
ことができるのだ。
関連法令はそれぞれの特殊法人を持っている省庁が所管しているので、自分
に都合のよい勝手な法解釈がまかり通ってしまう。つまり、族議員と官庁だけ
の思いのままになる存在なのである。
政府は特殊法人の不透明財務と借金残高のとほうもない増大に対する批判を
かわすため、平成一三年度から「財投債」「財投機関債」を発行し、「市場」
からの資金調達を行うことにしたが、この措置は笑止千万である。
私は、この悪あがきを国会でも批判してきたが、案の定、一三年秋になって
もさっぱり財投機関債(個別の特殊法人が発行する債券)の引き受け手がつか
ない。投資家は、「元本回収のリスクを評価できない」「破産法の摘要もない
団体である以上債権は保証されない」と腰を引いている。当たり前のことであ
る。幽霊の発行する借金の証文を受け取る者はいない。
またそうした事情のうえに、借金の山、不良債権の蔵となっている特殊法人
の債券など、自由主義市場経済であれば成り立つはずがないのだ。しかし、そ
れでも官庁は関係機関に一兆円余り引き受けさせたようだ。これぞまさに、
オール無責任の官制経済、護送船団国家の極みである。
(続く)